サプリメント-1
恋人に信じてもらえなかったり、セフレに片想いされたり、
私はぼんやりしているようで、少しずつ少しずつ引っ掛かりができて、
それらによって私は色々な事が出来なくなっていった。
しかもそれらが、全て自業自得で、同情の余地なんて猫のはいる隙間もないくらい、なくて、
その事実が一層私をつまみ上げ、引きずり回し、叩きのめした。
私は、元々掃除は苦手だったけれど、ますます出来なくなった。
料理は人並みにできたけれど、しなくなった。
仕事は割りと熱心にするほうだったけれど、なんだか力が入らなくなった。
「…でもね、意外と変わらないんだよね、何も。」
「何も?」
ユウトさんはベットでタバコを吸いながら聞き返す。
何も気兼ねなく話せる立場なのがユウトさんになってしまったので、
必然的にユウトさんに話すが多くなった。
「部屋汚くても病気にならないし、料理作らなくても飢え死にしないし。
いちばん変わらないのは仕事の方だけど。」
「やる気ない仕事態度で怒られないの?」
「…そうなんだよね。
誰も指摘しないんだよね、やる気ないでしょって。
意外と、見られてなかったんだなぁって。
私がお客さんにニコニコしなくなっても、すぐにお給料下がる訳でもないし、
なんか、余計やる気出なくなる。」
「成る程ねー。
でもさ、自炊してない影響は出てるよ。」
「…え?」
「肌荒れ。」
ユウトさんは私の頬を人差し指で軽く押した。
洗面所で確認してみると、小さい吹き出物が頬やおでこに出来ている。
「…気づかなかった。」
ベットに戻りながらユウトさんに言う。
「ちょっと、女の子なんだから肌とか気にしないとダメだよ?化粧とか毎日してるんじゃないの?」
「…適当にしかしないから鏡とかあんま見ない。」
「20代も半ばなんだから、いつまでも適当じゃダメなんじゃないの?
今は若さでなんとかなっちゃうかもしれないけどさ、
年齢がそのうち出てくるよ。」
「…彼女さんを見てそう思ったわけだ。」
「うちの彼女はスキンケアとかきちんとしてるからね。
30代だけど、キレイなんだよね。」
「…」
はいはい、と思いながら、肌荒れどうにかしないとなーとぼんやり考えた。