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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第8話-17


 さらに試合は回を追う。

  享和大|000|11
  双葉大|400|0


「………」
 スコアボードが示すように、双葉大はじりじりと追い上げを食っていた。
 打順がひとめぐりした4回表の享和大は、一転して勝負の仕掛けを早めてきた。それが“焦り”から来るものでないことは、打席に入る各打者の落ち着いた雰囲気が表していた。
(もうストレートではカウントを稼げない)
 走者を二塁に置いて、ストレートを痛打されたことで奪われた4回表の1点。同じく、5回表に走者を一塁に置いて浴びた二塁打は、やはりストレートを狙われたものだった。
 そこで桜子は、これまで敢えて多投してこなかった大きなカーブを配球の軸に変えた。本当なら、中盤が終了するまでは何とかストレートの配球で粘りたかったのだが、明らかにタイミングが合わされている今、躊躇はできなかった。

 キンッ! …バシッ!!

「あぁ〜」
 一方で、初回の猛攻が嘘のように、双葉大の攻撃も点が取れなくなった。いい当たりは何度も放つのだが、それが野手の正面だったり、風に押されて凡フライになったりと、いささかツキを失っているようにも見えた。
 勝利の女神の気まぐれに翻弄されているのは、リードしているはずの双葉大なのかもしれない。それは、“隼リーグ”が発足して以来、一度も入れ替えが発生していないという歴史が浴びせかけてくる重圧も、あるのだろうか。
「ストライク!!! バッターアウト!!!」
 フルカウントから、大和が自信を持って見送った際どいボールをストライクと宣告されてしまったことも、そのひとつだろう。
 当然ながら大和は抗議をしなかったが、主審の判定さえも享和大の援護射撃に思えてくるのは、追われる者の弱みといえる。
「っりゃあ!」
 それでも雄太は粘った。桜子のリードを信じ、自信を持っている緩く大きなカーブを随所でしっかりコースに決めて、塁上を賑わせながらも得点を与えなかった。

 ドガキンッ!

「おおっ!?」
 この音は、桜子の打ち放った三塁線への強烈ライナーのそれである。だが、打球はなんと三塁ベースに直撃して軌道が変わり、ショートがそれを掴むや、悠々と一塁でアウトに仕留めるゴロとなった。
「ああ、もう!」
 とにかくツいてない、としか言いようがなかった。


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