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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第8話-11


「………」
 胎内の噴火が収まり、冷えたエクスタシーという名のマグマは、理性という名の外殻を新たに生み出した。
「あうぅ……やっちゃった……」
 正気に戻れば、自分のしたことに羞恥を覚える。
(お風呂場で……オナニーして……オシッコまで、しちゃうなんて……)
 いくらそのまま洗い流せるとは言っても、もちろん風呂場は放尿するような場所ではない。加えて言えば、自慰をするところでもない。
(しまり、ないなぁ……もう……)
 我がコトながら、呆れてしまう。
「はぁ……自分に幻滅しちゃうよ……」
 今度こそ、きちんと自分の秘所を洗い、もう一度湯船に浸かって体を温めてから、桜子は風呂場から出た。
「桜子」
「お、お姉ちゃん!?」
 待ち構えていたように、姉の由梨がそこにいた。
 と、いうことは、である。
「お風呂場でオナニーするのはいいけれど…」
「う」
 案の定、ひとり濡れ場はしっかりと知られていた。
「湯冷めはしないように、ね」
「……はい」
 由梨は、いつもより風呂に入っている時間が長かったので、妹がのぼせているのではないかと心配し、様子を見に来ていたのだ。
『あらあら、桜子ったら』
 そして、シャワーの音に混じって、良く知る艶めいた声が聞こえてきたので安心(?)しつつも、今度は自慰にのめりこむ余り、妹が湯冷めをしてしまうのではないかと心配し、その一部始終を聞くことにしたのだ。
「きちんと温まってから、出てきた?」
「う、うん」
 温まりすぎて、熱くなった顔から火が出そうなくらいだ。
 姉の由梨に、自慰に耽っているところを見られたり見つけられたりするのは、何度も経験しているとはいえ、性的で恥的なことなので、羞恥以外の何者でもなかった。
「それと」
「う」
「オシッコは、トイレでしなくちゃだめよ。罰として“おしりぺんぺん”です」
「……はい」
 がくり、と桜子の頭が崩れ落ちた。
 そして、そのまま黙って後ろを向いて、剥き身となったままの瑞々しいおケツを、由梨のほうに向けたのだった。


「ああぁぁ」
 ベッドに身を横たえて、桜子は頭を抱えて悶絶している。うつ伏せになっているのは、臀部にジリジリするような感覚を抱えているからだ。
(お姉ちゃんの“おしりぺんぺん”……久しぶりに、もらっちゃった……)
 風呂場で放尿してしまったことへの折檻。それは、由梨による恒例のお尻叩きだった。
 もっとも、撫でるように五回ほどぺちぺちされただけなので、痛みは全くなかったが…。
「ううぅぅ」
 だが、“お尻を叩かれる”という行為は、どうしても大和との熱い情交を体に思い出させてしまう。
 大和が“禁欲生活”に入る直前の交わりでは、かなり激しくお尻を叩かれたので、その余韻が今でもはっきりと思い出せるのだ。
「おおぉぉ」
 それがいま、情念の炎となって桜子を内側から苦しめていた。
(これは、罰……罰なんだから……)
 恋人が“禁欲生活”に入っているというのに、自分はこうして、自慰をやらかしてしまった。あまつさえ、快楽に導かれるまま放尿までしてしまった。
 止むに止まれぬ体の反応とは言え、大和を裏切ってしまったような気がして、桜子の懊悩は深くなる。
 だからもう、試合が終わるまで自慰もしないと決めたのだが…。
「………」
 お尻に浴びた由梨の軽い折檻が引き金になったものか、まどろみの夢の中で現れた大和にお尻を叩かれ、身体の官能を激しく煽られてしまい…。
「また……しちゃった……」
 桜子は、今晩だけで二度目になる自慰をしてしまった。
 試合が明後日で、本当に良かったと思う。もし明日なら、とてもではないがベストコンディションで臨めそうにない。
(こんなんじゃ、エレナさんにも怒られちゃうよ)
 濡らしてしまった水玉ピンクのショーツを脱ぎ、洗濯カゴに押し込んでから、ナプキンを貼り付けた空色ストライプのそれを身に着ける。
「もう寝る! 寝ますわよっ!」
 誰に言うでもなくそう決意して、布団を深々とかぶり、無理やりにでも目を瞑って、ブラックホールをイメージして眠気を吸い込んだ。
「………Zzzz」
 このようにして、桜子の一日はようやく、暮れたのであった。



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