水族館-1
仕事帰り、いつもの牛丼屋で、白髪ネギの乗った牛丼を注文し、ネギを咀嚼していると、早坂さんからメールがくる。
「なにしてる?」
「牛丼たべてまーす」
返信すると、すぐまたメールがくる。
「いっつも牛丼喰ってねえ?」
「いっつも食ってるよー」
「牛丼食ってる=浮気じゃないよね(笑)」
まただ。
早坂さんは、私の行動の全てを疑ってかかる。
電話に出なければ浮気だと言われ、メールが遅れれば浮気だと言われ、牛丼食べれば浮気だと言われる。
問い詰めたり、切羽詰まった雰囲気もないので、別に辛くはない。
「ただ、いいのかなーって。」
「何が?」
「信じあってないことが」
「信じ合うねぇ」
「恋愛は信頼関係の上で成り立つものだもん」
「…りっちゃんもよくこんな状況で信頼だのよく言えるね。」
私は下着姿でユウトさんに乗り、首筋や厚い肩に唇を這わせている最中だった。
「日本には言論の自由があるから、愛撫しながら信頼とかの話しをしてもいいんだよ。」
「…りっちゃんは屁理屈ばっかり言うね。だから友達いないんじゃない?」
「…」
私は少しムッとしながら下半身に唇を滑らせる。ユウトさんは、
「なんか、どんどん巧くなるね。彼氏に浮気バレちゃうんじゃない?」
と頭を撫でながら言う。
「気をつけます」
といいながら、私は夢中で舌を使ったり、吸ったりしていた。