投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

想いを言葉にかえられなくても
【学園物 官能小説】

想いを言葉にかえられなくてもの最初へ 想いを言葉にかえられなくても 18 想いを言葉にかえられなくても 20 想いを言葉にかえられなくてもの最後へ

想いを言葉にかえられなくても《放課後の音楽室》-12

―――――
「馬鹿恭介。風邪ひくわよ」
 ビクッとした。だって辺りは暗くて人もいないし…
「…千鶴……」
「コンクール前よ。体調管理は基本でしょ。恭介の代わりはいないのよ」
 夢にまでみた千鶴。俺だけを見ている。前までは当たり前だった事なのに…涙が出そうになる。
「千鶴、俺…」
「鍵開いてるから。」
 俺は意を決し、アパートに踏み込んだ。
 千鶴は静かに窓際で佇んでいた。あんなに色々考えていたのに、いざとなったら案外なんにも出て来ない。
「えっと…その……、悪かった。」
「なんで謝るの?やましいと思ってる事あるの?」
「だって、俺たち喧嘩してるだろ?俺の我儘のせいで」
「……。あれは私も大人気なかった。気を利かせてくれたのに…ごめん」「いや…俺さ、わかったんだ。喧嘩して、俺が千鶴に何を求めているか、なんで不安になるのかって」
「不安に?恭介が?」
「ああ。めちゃくちゃ不安。でさ、初めは形ばかりにこだわってた。恋人とか、そういうのに。でも、全部ひっくるめて千鶴の特別になりたかったんだ。」
「私の特別?」
「そう。苦しい時は側で支えて、楽しい時は側で笑いたい。そういう特別になりたい。」
「……」
「彼氏とか彼女とか。そんな小さい見方じゃなくて。なんつーかな、俺自身まだよく見えてないんだけど、、んー。とにかく仲直りしたいんだ」
 腹の中かで暴れていた言葉は全部言ったつもりだ。俺の気持ち。心臓がばくばくして苦しい。初めてキスした時ぐらい緊張してる。
「…苺ちゃんは?」
 ズキッとした。
「イチコは俺の特別な友達になった。」
 正直すぎたかな…でも言うしかない。
「イチコは俺を好きだと言った。だけど…彼女はいないけど、俺は好きな人がいるつて断った。そして友達として…普通の友達じゃない…特別な友達になった。」
 黙っている千鶴。疑っているのかもしれない。沈黙が流れる。
「…すごく不安だった。」
 ポツリと言った千鶴の一言。涙が一筋流れ落ちている。
「あんなに皆の前で、自分の気持ちに正直に告白して。…羨ましかった。だって私にはそんな度胸はないから。私、臆病だから…恭介を引き止めておくだけで精一杯で、皆に私と付き合ってる事がばれたら…私、凄く束縛しちゃう。そしたら恭介はきっと呆れて……離れて…いっ、行ってしまうって……」
 泣き出した千鶴を抱き締めた。以前より幾分痩せた気がする。千鶴の想いは俺の心に染み込んでいった。なんでこんな小さい事で擦れ違ってしまったのだろう。お互いの気持ちは変わることは無いのに。
「恭介…痩せた?」
「ん、そうかも。千鶴こそ痩せた気がする」
「くすっ…確認してみる?」
 泣き笑いの表情。マスカラが落ちてパンダみたいだけど、凄く可愛かった。そう千鶴に告げると笑いながら怒ったふりをして、メイク落としでサッと綺麗にしてしまった。すっぴんの千鶴はそばかすがあり愛らしい。本人は気にしているが、ほっぺたが赤くて可愛い。
「んうっ…」
 久々の口付け。グロスやリップも落ちているのにやっぱり甘く感じる。いつまでもキスしていたくなる。舌を絡めながら胸の膨らみを、服の上から確かめた。
「んうっ、シャ…シャワー浴びよ?」
「一緒に入る?」
 頷いたのを確認すると手を引いてバスルームに向かった。


想いを言葉にかえられなくてもの最初へ 想いを言葉にかえられなくても 18 想いを言葉にかえられなくても 20 想いを言葉にかえられなくてもの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前