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『めだかボックス』
【二次創作 官能小説】

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安心院なじみの浅慮な挑発または球磨川禊の命知らずな性衝動-5

 『もうすぐ……奥まで、届くぜ』
 球磨川が唇を離し、嘲笑うように言ったが、返事をする余裕などなじみにあるはずがない。
 「くうぅっ! ひあっ、あああっ!」
 膣の侵食が進むたびに強くなる異物感は、神経繊維を容赦なく掻き毟りなじみを責め立てる。なじみはもうほとんど前後不覚なまでに、快楽の奈落へと堕ちていた。
 「あうぅ……っ!!」
 球磨川の亀頭が最深部を叩くと同時に、なじみは二度目の絶頂に達した。
 不自由な体勢のまま身体が反り返り、腰がビクンビクンと滑稽な痙攣を繰り返している。眼球は不気味なまでに裏返りかけていて、彼女が昇らされた頂の凄まじさを如実に知らせていた。
 だが、それはなじみの話。
 球磨川はまだ絶頂には届いておらず、それはつまり彼にとっては、行為もまだこれからだということである。
 『動く、ぜ……』
 腰を僅かにひき、また押し込む。その動きにはなんの工夫も、スキルもない。けれども今のなじみにとってはたったそれだけの動きが、どんなに卓越したテクニックにも劣らぬ性技となっている。
 繰り返される抽出はスピードを増し、クチュクチュと淫靡な水音に、やがてお互いの腰部がぶつかり合うリズミカルな音が加わった。
 「……っ! ……!! あ……っ!」
 とうとう声をあげることすらなじみはできなくなっていた。
 もうずっと昇りつめたまま降りられずにいる。失神と覚醒を数秒の間に何十回と繰り返す混沌の凌辱の中、なじみが辛うじて保つ僅かな意識が感じたある気配は、全知全能を誇る彼女をして、こう思わせるほどのものであった。
 「く……ま、がわ……くんっ……! だめ、だ……! 死、ぬ……っ!」
 そして、ハイスピードの抽出を行いながら、球磨川が言った。
 『僕の、勝ちかな。安心院さん……!』
 強いられた絶頂の最中でなじみが感じた予兆──それは、下腹部に小さくあった熱が肥大化していくような具合に、球磨川の責めに合わせて少しずつ、だが確実に膨れてきた感覚であった。
 頭が真っ白になるまで飛ばされて砕かれたなじみの意識。そのうえそこに叩き込むにはあまりにも強すぎる、いやが応にも新しい世界へなじみを引きずりこむその感覚──。
 そしてそれは、球磨川の男根が更に硬さを増し、なじみの中に熱い液を迸らせるとともに、訪れた。
 『なじみ……。出すぜっ!』
 「……あぁ……っ! ひあぁ! ふあああああっ!!」
 今日最高の絶叫を教室中に響かせて、なじみはイカされたまま更なる高みへと押し上げられた。
 散り散りになった意識は、強烈という言葉も生ぬるいその刺激に一気に弾き跳ばされて、遂に裏返させられる。球磨川の射精が引き金となったそれは、快感も苦痛もないまぜにするような、またはそれらも平等だというような──。
 なじみの全身はガクガクと何度も派手に跳ね回り、そして彼女が白目を剥くと同時に、全ての動きを止めた──。


 『……』
 行為を終え、秘所からものを抜いた球磨川は、ふうっとひとつ息をつくと、下半身の衣類を直した。
 『なんだか虚しいなあ。せっかく大好きな安心院さんが僕のものになったというのに……』
 なじみに背をむけ、そんなことをひとりごつ。もちろん、括弧をつけたままの口調で。
 なじみは床に倒れたまま、相変わらずピクリとも動かない。
 『……』
 球磨川がちらりとなじみのほうを見た。
 乱れた衣服はそのまま、両手を拘束している螺子と、スキルとリミッターをそれぞれなかったことにしている腹部と胸部の大小それぞれの螺子にも、変化はない。瞼が閉じられ、口元の笑みも消えたなじみの表情は、まるで──
 『ていうか、死んでないよね? 安心院さん』
 半笑いで球磨川が呟いた。冷や汗が一滴、頬を伝っている。
 「…………」
 なじみの返事はない。
 横たわった姿勢から変わらず、静まり返ったその様では、球磨川の懸念も無理ないものといえた。実際普通の人間であれば、間違いなく死んでいるだろう。そもそも螺子に貫かれた時点で死ぬだろうことはさておくとしても。


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