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『めだかボックス』
【二次創作 官能小説】

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安心院なじみの浅慮な挑発または球磨川禊の命知らずな性衝動-6

 ──だが、安心院なじみは普通(ノーマル)ではない。──悪平等だ。
 唐突に、激しい回転音が響いて、球磨川は目を大きく開いた。なじみを貫く三本の螺子が、ちょうど巨大な電動ドライバーで回されたような具合に回転を始めたのだ。
 『!?』
 絶句する球磨川をよそに、螺子はなじみの身体から回転とともに抜けていき、まずは手、次に胸部のそれが完全に外れる。
 これは球磨川の意思ではない、つまり、なじみが抜いたのだ。
 『……おかしいな、安心院さん。きみのスキルはなかったことにして、二度と取り返せないはずなんだけど』
 全てをなかったことにするスキル『大嘘憑き(オールフィクション)』。これにより虚構になったものは二度と戻らない、取り返しのつかない負完全な過負荷のスキル。球磨川の言う通り、なかったことになったなじみのスキルも“例外”ではなく、取り返せない――はずなのだが。
 「……例外を設けるスキル『起立気を付け異例(エクセプションプリーズ)』。僕のスキルを“例外”的に、“取り返しがつく”ようにしたんだぜ」
 未だ動かないなじみが、しかし唇だけを動かして言い、そして口角を軽くあげる。
 間もなく三本目、最後に残った腹部の螺子が、抜けた。
 「7932兆1354億4152万3222個の異常性(アブノーマル)と4925兆9165億2611万643個の過負荷、合わせて1京2858兆519億6763万3865個あるこの僕のスキルをなめるなよ」
 今のところこの教室限定とはいえ、その桁違いのスキルの一切を封じられていない完全版安心院なじみ、通称完全院となったなじみは、ゆっくりと身体を起こすと、泰然とした直立の姿勢で球磨川にそう笑いかけた。
 『……いやあ、流石安心院さんだね。これくらいのことじゃビクともしない。それでこそ僕も全力で倒そうと挑む意義があるってものさ』
 球磨川も笑顔でそう返す。
 「おいおい、それは僕を買い被り過ぎだぜ。別にきみに合わせて演技をしていたわけじゃない。この僕をあそこまで凌辱してくれたのは有史以来きみくらいのものだぜ」
 安心院なじみは三兆年以上生きている。
 彼女の他に三兆歳の存在は多分いないから、それを三兆年も生きているくせに、というべきか、もしくは三兆年も生きているゆえに、というべきなのかはわからないが、ともかく。
 安心院なじみは意外にも、割と感情がわかりやすい性格だ。
 想定外のことがあれば驚きをそのまま表情に出すし、なんでもそれなりに楽しむやつではあるが、特に気に入ったことには楽しそうな雰囲気を隠さない。長年の万能ゆえの苦痛から解放されたとすれば多分素直に涙を流すだろうし──
 不愉快なときは、たとえ笑顔でも相手を恐れ戦かせるだけの怒気を、これでもかとばかりと放出する。
 「五千年振りくらいに命の危機を感じたよ。とっても辛かったぜ、球磨川くん」
 なじみが、その怒気を持って球磨川に一歩近づいた。
 『え? あれ? ちょっと待ってよ。安心院さんも自分が誘ったって言っていたじゃないか。つまりこれは合意だよ』
 その表情を見てとった球磨川が、今度はさきほどのなじみとのやりとりとは一転して笑顔をひきつらせた。
 『そりゃあちょっとやり過ぎた感は否めないけど、普通にやったって全知全能のきみには物足りないどころかつまらないものにしかならないだろう?』
 球磨川が一歩後退する。けれどもなじみが二歩歩き、さらに二人の距離が縮まる。
 『おいおいこの距離マジみたいじゃんやめろよ! きみと争いたくはないんだ。僕達はわかりあえる!』
 球磨川が壁に追い詰められる。構わずなじみは、最後の一歩を詰め寄った。
 「……球磨川くん。聞こえな、い」


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