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ガラス細工の青い春
【純愛 恋愛小説】

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誰かが持ち込んだ体育館のバレーボールを、教室の後方でリフティングしている音。時々リズムを崩しながら鳴るその音は、何かが爆ぜるような音に似ている。清香は椅子にまたがり、咲の机に頬杖をつきながら、それをぼんやりと眺めていた。圭司はリフティングを絶対にしくじる事がなく、ベルトが垂れ下がったズボンのポケットに両手を突っ込んだまま「ユウ」と声を振って、対面の優斗にボールが渡る。だらしなく腰まで下げたズボンの裾が邪魔をして、爆ぜる音がくぐもった音に変わった。優斗が三回リフトさせたボールは、四回目には窓の外に放り出される。教室の一角、それは清香も含まれた窓際の一角から、どっと笑いが起こる。
 窓の下を覗き込んだ秀雄が「誰にもぶつかってないっぽいけど、池ポチャでーす」と振り向いて言うと、また笑いが起こる。

 高校二年に入り、クラスが替わった。部活動に所属している清香は、クラス内に特定の友達がいなくても、朝も夕方も土曜も日曜も、部活動にいそしむ訳で、これといって不都合はなかった。しかし、時間が経つに連れて、少しずつクラス内がいくつかのグループに割れ、いつの間にか清香は、咲、留美、幸恵と過ごす事が増えた。
 そして学年でも目立つ不良生徒と認識されている雅樹、優斗の二人と圭司、秀雄ともつるむようになっていた。八人の大所帯だ。
 清香にとってそれは楽しい毎日を送るためのエッセンスでもあり、時に戸惑う原因にもなり得た。



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