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汚れた教室 〜教室長マヤの日常〜
【レイプ 官能小説】

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愛欲の罠-2

 日曜日の映画館は混雑している。
 空席はほとんど無く、まわりはカップルか若い女の子同士のグループばかり。
 大きな画面を流れる映像は目の前を素通りしていくだけで、話の内容など少しも頭に入って来なかった。

 暗い場内で、隣に座る久保田の表情を盗み見る。
 ただ男女が痴話喧嘩をしているだけのような場面なのに、身じろぎもせず、ものすごく真剣な顔で見入っている。
 本当に、根っから真面目な男なのだろう。
 今朝の待ち合わせ場所からのことが思い出されて、マヤは思わず笑いを噛み殺した。

 久保田は待ち合わせ場所でマヤの姿を見つけると、驚いたように小さな目を何度も瞬きさせた。
「先生……なんだか、休日は雰囲気が違いますね、普段はキリッとしているけど……今日は、その……」
 もじもじと言葉を選んでいる久保田に、わざと弱気な姿を見せた。
 肩を落とし、恥ずかしげなポーズでうつむく。
「やだ、この格好、変だったかな……ごめんね、久保田くんに嫌われちゃったらどうしよう」
 心の中でせせら笑う。
 そんなこと、ちっとも思って無いくせに。
予想通り、おろおろとした声が降ってくる。
「すみません、そんなことないです、ほんとに、あの……年上の女の人に言うべきじゃないかもしれないけど、すごく……可愛いです……」
「ありがとう、優しいんだね。腕、組んでもいい?」
 返事を待たずに腕を絡め、意識的に胸のふくらみを押し付けた。
 
 たったそれだけのことで、その後の久保田の動揺ぶりは凄まじかった。
 歩いている途中に何もない場所で躓き、カフェでの支払いでは小銭をばらまいて、そのあげく階段から転げ落ちそうになる。
 何かひとつやらかすごとに、「すみません、すみません」と謝り続ける様子も可愛らしかった。

 スクリーンに視線を戻す。
 映画はもうすぐ終盤に差し掛かるところだ。
 場内には、クライマックスにふさわしい音楽が鳴り響く。
 よほど感動的な場面なのか、観客の中から啜り泣く声が聞こえる。
 
 久保田との距離を少し詰める。
肩を寄せ、腕をぴったりとくっつけた。
 びくんとした震えが伝わる。
 こんなことで驚くなんて、中学生みたい……。
 こみあげてくる笑いを堪えながら、そっと手に触れ、指を絡めた。
 それは怯えたように震えながらも、意外なほどの力強さで握り返してくる。
愛らしくデフォルメされた熊の縫いぐるみのような顔。
 戸惑う視線が、頼りなくマヤと映像の間を行き来する。


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