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妖精トム・ソーヤの繁活
【ファンタジー 官能小説】

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雪下めぐみ-3

すると何者かが彼女を椅子に座らせた。雪下めぐみは控え室の椅子に座っていた。
「きゃっ!」
声を出したのはメイクの女性だった。
「いったいめぐみさんはどこに行っていたんですか? そしてどうやってここに戻ったんですか?」
「えっ……私はどこにも行かないですよ。ここでちょっと居眠りして夢を見ていたみたいですけど」
「そんな馬鹿な。あっ、大変です。そろそろスタジオ入りの時間です」
話はそれで終わった。


それから数週間が経過した、ある日のこと。
WTVテレビ局の第2スタジオでは、芸能人やタレントのゲストを迎えて特番の収録を進めていた。。
『世界の不思議現象』という番組タイトルがついている。大画面には次々とUFOや宇宙人、UMAや怪現象・超能力などの記録映像が流される。テーマとしては雑然としているが幅広い視聴者の関心を集めようとする製作者側の意図らしい。
MCの松田トンビという男性芸人が女子アナと一緒にこの番組を進行していた。
「それでは、14才の美少女アイドルの雪下めぐみちゃんの不思議体験について語ってもらおうかな。めぐみちゃんの場合は何を目撃したんだい」
並み居るタレントたちの中で一番若い美少女がいた。モデル出身だが歌も歌えるしドラマにも出ている。
そしてアイドル人気投票で最近第1位になったばかりである。
色白で黒く艶やかな長い髪、白を基調とした可愛らしいドレスは清楚そのものだった。
雪下めぐみは事務所からは、この質問に対してUFOらしいものを見たことがある、と答えるように言われている。
もちろんそんな経験はなかったが、全く不思議体験がないアイドルというのも夢がないので、その辺が無難だろうと言われていた。
もちろんそれ以外の不思議体験が思いつくなり思い出せばそれでも良いとは言われていたのだ。
雪下めぐみは長い髪の毛を撫で上げてから口を開いた。
「実は私って滅多に夢を見ないんです。見てもぼんやりしたもので内容も殆ど覚えていません。
でもごく最近とってもはっきりした夢を見たことがあります。大きなシャボン玉の中に入った可愛い男の子が現れて自分は妖精だと言うんです。
そして……えーと……そしてですね。僕はあなたのファンだと言うのでサインしてあげたら、喜んで……それから消えました。
そのとき夢がさめたんですが、実はわたしメイクさんと一緒に控え室にいたのですが、突然眠ってその夢をみたんです。
そして夢から醒めたとき、メイクさんが言うには私が夢をみている間、私が消えていなくなっていたと言うのです。そのとき控え室にいたのはわたしとメイクさんの2人きりだったんですが……」
これには非常に好印象の反応があった。でも多少脚色しているところはあった。サインしたのではなくセックスしたことも勿論言う訳にはいかない。
松田とんびは真顔になってそのことを確かめようとした。
「へえ……メイクさんって、いつもの人? ああ、スタッフの後ろのあそこにいる人だね。そんなことあったの?あれ?頷いているよ。じゃあ、本当なんだ。
すごいねえ」

だが雪下めぐみは手をあげて、さらに発言を続けた。
「実はその夢を見てから、私の体の調子がとっても良くなったんです。たとえば私は結構寒がりの方なんですけれど、それ以来いつも体が手足の先までぽかぽかして暖かくて、短い時間でもぐっすり眠れて目覚めがすっきりしているし、他にも胃が弱かったり食欲がなかったのもすっかり改善されているのです」
「すると夢の中の妖精がサインのお礼にめぐみちゃんを健康にしてくれたとか」
「はい、そうとしか考えられません。きっとその妖精はわたしのファンの皆さんの心が集まってできあがったのじゃないかと、心からファンの皆様に感謝しています。ありがとうございます」
雪下めぐみはそう言って、カメラに向かって頭を下げた。
この番組を契機に彼女の人気はますます高まったという。

 


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