『T-R-A-P』-2
週末の夕刻時……賑わいを見せる駅前のロータリー広場……人々が目的地に向かい足早に交差して行く……バス停の影に隠れ、待ち合わせの場所を観察していると、約束の時間の五分前に涼子が姿を現した……普段より、少し濃いめのメイクをした涼子は、落ち着かない様子で辺りを見回していた……
僕の左の手首で、時計の針が約束の時間を指し示す……僕は、一歩一歩足元を確かめる様に、ゆっくりと涼子に近づいていった……
「こんばんは……河本さん……」
僕が、涼子の背後から肩をたたくと、涼子はビクリと肩を震わせ振り向いた……
『あっ……山川さん……こっ、こんばんは……』
不意に僕から声を掛けられ、驚いた表情の涼子……明らかに動揺している……
「待ち合わせですか?……」
『あっ……いえっ……あのっ……』
「僕も待ち合わせしているんですよ……河本さん、見かけませんでしたか?この女性……」
『…………』
僕が、涼子に携帯の画面を見せると……涼子の顔から血の気が引き……涼子は言葉を失っていた……携帯の画面には、乳房を握り締め俯く涼子の姿……
「さぁ、行きましょうか、河本さん……否、涼子さんって呼んだ方が良いのかな?……」
僕は、涼子の手を握り締め……雑踏の中に足を踏み入れた……
駅前のロータリーから十分程歩き……僕は古びたラブホテルの一室で、涼子の事を抱き締めていた……下を向いたまま固まっている涼子の顎に指を掛け、唇をそっと近付ける……
『あっ……ダメっ……こんな事……貴方の奥さんや、マンションの人達に知れたら……私、あそこに住んでいられなくなる……』
「それ以前に、僕とのメールの内容や、あんな写真の存在が知れただけで……僕の要求を断ることは出来ないよ……」
僕は、半ば強引に涼子の唇を奪っていた……舌先を絡ませながら、ベージュ色のハーフコートを剥がし取り、薄ピンク色のセーターを捲り上げ……白いカットソーの上から胸の膨らみに、手のひらを這わせる……
「涼子さん……貴女を初めて見た時から……貴女の事が気になっていたんだ……」
僕は涼子の耳たぶを愛撫しながら囁いた……
「耳が感じるって……言っていたよね……」
『ぁぅああっ……』
噛み締めた口元から、吐息が漏れる……僕の舌先が涼子の性感帯を刺激する度に、涼子の眉が歪む……僕は耳元から首筋にかけ執拗な愛撫を繰り返す……涼子の中で、ピンと張り詰めた思いが弾け……息を荒げた涼子の指先が、僕の股間に延びていた……
「さぁ、涼子さん……」
『…………』
僕が涼子をベットに促すと、涼子は無言で自らの服を脱ぎ……静かにベットに横たわった……
僕は、清楚な白い色をしているがビキニラインの鋭く切れ上がった下着姿の涼子を、舐め回すように視姦しながら全裸になり、涼子の隣に横たわる……
「いつも、こんなエッチな下着つけているのかな……」
耳元で囁きながら……固く閉ざされた涼子の脚の間に、スッと膝頭を押し込め……パンティーの上から涼子の花びらに、指先を這わせる……
「もお、濡れてきてるみたいだね……パンティーの上からでも……」
『……お願い……恥ずかしいから……電気消して……』
古びた部屋とは不釣り合いな、天井の真新しい照明器具の明かりを落とすと……煤けた壁紙が、オレンジ色の間接照明でボンヤリと浮かび上がる……
白い下着が静かにベットの下に剥がれ落ち、産まれたままの姿になった涼子が、僕の目の前で頬を少し赤らめていた……