生徒はお嬢様!?-26
「えっと、その……」
「HAHAHA! 全てを語る必要はない。君の言いたいことはちゃんと理解しているからね」
「え……?」
「ふははは、きちんとこの目で二人のプレイを見させてもらったよ!」
ビシッと親指を見せ付けてくるオッサン。ちょっと待てよ……見させてもらったって、
どういうことだよ!? いや、意味は理解出来るんだが、何でオッサンがそれを見てるんだよ!?
「撫子」
「はい、お父様」
「立派に育ったな。父さんは嬉しいぞ」
「まぁ♪ これも全てはお父様の教育のおかげですわ」
二人して肩を寄せ合い涙を流している。何も知らない人間がその姿を見たら、美しい親
子愛に見えなくもないだろうが、俺から見たら酷い茶番だ。
そもそも何で撫子はオッサンに何も文句を言わないんだ? 自分がセックスしている姿
を親に見られたんだぞ? そんなの普通、恥ずかしくて泣きたくなるだろ。
「あんな素敵なプレイを見せられては私も、色々と思い出してしまうな」
「ふふ、お父様ったら……♪」
もしかして、あの二人にとってはセックスシーンを見られるのぐらいは、なんとも無いのだろうか?
鈍感なのかアホなのか……アホだろうな。
「しかし彼方くん。君もなかなか手の早い男だな」
「いや、それは……」
撫子に上手く乗せられたというか、俺としては手を出すつもりなんてなかったのに。
「出会って二日目とは、私も予想外だよ」
HAHAHAと笑いながら、バシバシと俺の背中を叩くオッサン。自分の娘が傷物にさ
れたというのに明るすぎだろ。
「撫子の魅力は素晴らしいものだな」
「もう……お父様ったら恥ずかしいですわ」
なんというか、この親子には勝てない。そんな風に思ってしまった。
「さて彼方くん」
先ほどまで笑っていたかと思うと急に真面目なトーンで俺に話しかけてくる。
「な、なんでしょう……?」
「聡明な君のことだから分かっていて手を出したのだろうが、今一度聞かせて欲しい」
「……はい」
ついにやってきた刑の宣告の瞬間。そう、相手は九条家の一人娘だ。その娘に手を出し
たということは勿論――
「私のことをパパと呼ぶ覚悟があるということだな?」
「……え?」
「む、違うのか?」
「あ、いや――そういうわけじゃないですよ。きちんと責任は取りますし、九条家に入れ
というのならば入りますし、あなたのもとで働けというのなら働きますが……」
あんたをパパと呼びたくはないのだが。つーか、俺がパパとか呼んだら気持ち悪いだろ。
「私のことをパパと呼ぶのは不満かい?」
「……まぁ」
せめて義父さんだろ。パパだけは絶対にないわ。
「……しかたない。パパと呼ばせるのは諦めよう。しかし、九条家には入ってもらうよ」
「はい。それは覚悟してます」
撫子に手を出すということは、そういうことだから覚悟は出来ている。
「実にいい心がけだ。彼女も喜ぶと思うよ」
「彼女……?」