ダブルデート-5
大山倫平の言っていることは、そのニヤニヤしたような表情から、私をバカにしていると言うことが伝わってくる。
可愛い沙織はいかにも女の子が好きそうなパスタが似合って、可愛くない私はガツガツ食べるイメージだから生姜焼き定食なんだろう。
大山倫平の言葉にムッとした私は、
「そうだね、ちょうどガッツリ食べたかったし、生姜焼き定食にするわ。ライス大盛で」
と、少し声を低くして言った。
「すげぇ、ライス大盛だってよ」
大山倫平はバカにしたような言い方で土橋修を見た。
何コイツ。全然親しくない人に何でこんなに失礼なの?
そう思いながらテーブルの下で拳をグッと握り、ジロッと大山倫平を睨みつけた。
でも、大山倫平は私が睨んでいるのすら気づかないで、しきりに土橋修に話しかけている。
「俺も腹減ったからガッツリ食おう」
一方土橋修は、大山倫平に合わせるわけでもなく、かと言って私に気を使うわけでもなく、のんきな声でそう言うとメニューを閉じた。
土橋修が無反応だったのが大山倫平には少し面白くなかったみたいだったので、私はざまみろと心の中で舌を出した。
結局、私と土橋修は生姜焼き定食のライス大盛、沙織は迷っていたパスタをやめて、ハンバーグ定食のライス大盛、大山倫平はカルボナーラを注文した。
「沙織ちゃんって細いのに結構食べるんだね……」
店員さんが注文をとってテーブルから離れると、大山倫平はバツが悪そうに言った。
「うん、あたし食べる方だよ。お腹空いてたし。ごめんね〜、あたし大山くんがイメージするようなタイプじゃないわ」
沙織がさりげなく私に気を使ってくれているのがわかった。
私が大山倫平にバカにされて嫌な思いをしていたのを察して、少し嫌みっぽい言い方をしてくれたのだ。
私は再び心の中で大山倫平に舌を出した。
「修はどう? よく食べる女の子は」
沙織は、退屈そうにボーッと窓の外を見ていた土橋修に話しかけた。