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秘め事の系譜 シホ
【同性愛♀ 官能小説】

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摘み食い-3

 素直に差し出されたアケミの濡れる舌先を、シホは自分の舌で絡めとった。唾液を擦り付けるようにアケミの舌を舐め回し、自分の口腔内に導く。
「ん……ふ……!!」
 重ねられた唇の中で、熟女と小娘は舌先を丹念に絡め合った。が、責め方にはシホの方に一日の長があったようだ。両腕に抱きしめる力を込めたシホは、舌先でアケミの口腔内を一方的に責めるようになっていった。唇に吸い付き、舌をなぶり、娘の口の中を舌先で犯していく。
 やがてゆっくりと唇を離したシホは、うっとりとしたアケミの眼を見つめた。トロンとして、焦点がいささかおぼつかなくなっている。
「なんて……すごいキス……」
 薄桃色に頬を上気させたアケミに、シホは吐息のかかる距離で囁きかけた。
「例のヒロ君とは、こういうキスはしなかったの?」
「彼だけじゃ無いです……。こんな、情熱的なキスをしてくれる男の人なんて……、今まで一人も……」
「フフ、そうでしょうとも。同性愛がなんで禁忌なのか、知ってる?」
「……え?」
 シホはアケミの胸の膨らみに手を当てた。意外にボリュームがある。
「とっても気持ち良いからよ。気持ち良過ぎて、異性なんかいらなくなっちゃうの。だって、お互いに相手の感じるところが手に取るようにわかるんだもの。それは、男でも女でも一緒よ。でもね、そうすると、子供が出来なくなっちゃうでしょ?」
「ええ……」
「だから、禁忌なの」
「……」
「でも、禁忌って、燃えると思わない?」
「え?」
「やっちゃいけないコト、恥ずかしいコト、人には言えないコト……。それって、とっても気持ちの良いものなのよ」
 シホはアケミの唇に軽くキスをした。
「ね、アケミさん?」
「……は、はい」
「この後は、お暇?」
「この後……ですか? 特に予定は……ないです。本屋でも回ろうなんて、思っていたんですけど……」
「ふふ、それじゃ、楽しいコト、しましょうか」
 シホはアケミの唇に再び吸い付いた。
「んん……!」

 受付嬢の坂元ミスズがホテルのロビーに姿をあらわしたのは、待ち合わせの五分前だった。スマートフォンでニュースサイトをチェックしていたシホは、情報端末をバッグにしまい、愛人に歩み寄る。
 ポニーテールとメガネはいつもと同じだが、今日のミスズは白いノースリーブのブラウスに淡いオレンジ色で膝丈のフレアースカートを合わせており、肩にはライムグリーンのショルダーポーチを携えていた。ブラウスは身体のラインにピッタリとしたもので、スカートも少し短めである。剥き出しのスラリとした小麦色の腕や腿に、ロビーの男たちの視線が引き寄せられる。見方によっては実にセクシャルな格好だが、やはり季節柄、健康的な印象の方が大きい。二十二歳という年齢もあるのだろう。
 対照的に、シホの服装は落ち着いた大人の女性といった雰囲気だ。小さめの白いタンクトップにパステルグリーンのボレロジャケット。下はダークグレーのロングスカートを履いている。
「ハイ、ミスズ。可愛らしい格好ね」
「シホさん!」
 心底うれしそうな表情で、ミスズはシホに近付いてきた。
「言いつけは守っているのかしら?」
「はい……」
 ミスズは少し上目遣いになって答えた。頬が少し赤らんでいるように見える。
「いい娘ね。それじゃ、行きましょうか」
 二人は連れ立ってエレベーターホールに向かった。
 シホたちがいるのは海際の高級ホテルである。周辺には国際会議場やコンサートホールなどが有り、商業施設も充実している。特に目を引くのが、時計の付いた世界最大と言われる観覧車である。夜間であれば、ライトアップとイルミネーションが綺麗な観光名所となる。
 ミスズとエレベーターに乗ったシホは、最上階近くのフロアのボタンを押した。二人の他には乗客はいない。
 最上階はレストランやパーティー会場などに使われるフロアで、それらのすぐ下がスイートなどの高級な部屋となっている。シホが取っている部屋はそれより少し下の階だが、プライベートなパーティーが開けるくらいの広めの部屋である。
 エレベーターは建物の外壁に沿った形で設けられており、半分はガラス張りである。今は低層階の商業フロアにいる為、ガラスの向こうには殺風景な壁が見えるだけだが、箱が上昇するに連れて、眼下に海と周辺の複合施設が見えてくるはずだ。
 エレベーターの扉が閉まり、愛人と二人きりになるや否や、シホはミスズの腰を抱いて熱烈にキスを交わした。唇を吸いながら舌を挿しこみ、両手でミスズの背中とお尻を弄る。
 エレベーターがゆっくりと上昇を開始した。
「ふーっ。今日のシホさん、とっても情熱的ですね……」
「こういうのはキライ?」
「いいえ、大好きです。なんか、求められてるって感じがして、とっても良いです」
「ふふ、ところで、ホントに言いつけは守ってるのかしら?」
「守ってますよぉ。ここまで結構ドキドキだったんですから」
 ミスズは胸に手を当て、恥ずかしそうに微笑んだ。ほんのりと頬を染める様子がとても可愛らしい。
「そう?」
 向かい合わせに立っていたシホは片手をミスズの腰に回したまま、無造作に愛人の胸に手を当てた。ブラジャーの硬い感触は無く、一枚の布越しにふっくらとした柔らかい肉の存在が感じられる。
「あ……」
「下着はつけないようにって言ったけど、こんなノースリーブのブラウスを着てくるようには言っていないわね。脇から見えてしまうんじゃないかしら?」
 シホは喘ぐミスズの耳元で囁いた。
「エッチ……」
「あん……」
 そこでエレベーターが減速した。どうやら、途中のフロアで他のホテル客が乗り込んでくるようだ。ホテルの低層階は商業フロアになっており、書店や売店、ファミリーレストランなどがある。


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