puppet title-9
ちなみに、このお人形作りだが、まず始めに服を脱がすという作業から始めるわけだが、私はどうにもそれに慣れない。単純に恥ずかしいからな訳だが。でもちゃんとお人形にしておかないと、自然の摂理に従って、人間の死体は腐り始めるのだ。もしかしたら富田一流は天使なんだから腐らないかも、という考えが頭をかすめたが、「やはりそれはないだろう」と、わざわざ口に出して否定してみた。効果はてき面だった。うん、やはりそれはないだろう。いくらなんでも、たとえ天使の死体でもやっぱり腐るだろう。
あー、じゃあ服を脱がさなくちゃ池なんだよなー。恥ずかしいけど…
「たはー、ゴメンよー!」
奇声を発して気合を込めて、富田一流の服をババッと脱がす。
「あーあ、裸になっちゃった」
もちろん裸になった理由は私が服を脱がせたからな訳だが…
でも、私は服を脱がす、という作業は嫌いなのだが、裸を見る、ということは嫌いではない…というかむしろ好きなのでここから先は別段気後れしたりしない。…まあ、よくよく考えれば、女性の衣服を脱がすのが何よりも好きって奴がいたら、そいつは相当の変態だろうと思うのだが…
で、増す始めにする作業は、富田一流の体を洗うことだ。水と薬品で全身を消毒するし、耳・肛門・膣などに消毒剤を浸した綿を詰める。これからの作業中は、ずっと水で遺体を洗浄し続ける。
「さあー、キレイキレイしましょうねー」
ワシャー、っと脇に取り付けたシャワーからお湯を出す。どうしてお湯かって?冷たいからに決まっているじゃないか!もちろん私がつめたいのが嫌なんじゃないよ?富田一流が、冷たいのは嫌だろうなって言うかかわいそうだな、って。
ああ、それにしてもつるつるすべすべだなぁ。触ってて気持ちいい。うわー明日からこれを毎日触れるんだなぁ…
最高ですかー?
「最高でーす!!」
大声で叫ぶ私。テンションが急上昇だ。明日からの抱き枕はこの一流たんに決定だ。
ぐいぐい。私は一流たんの肌の感触を楽しみながら、薬品が入りやすいように、血管を広げるため、全身マッサージを行なう。うーん…こんな美少女が私の意のままに動いてしまうんだな…感動だ。
あらかた血管が広がってきて薬品の染み渡りが良くなってきたと思われる。そして私は一流たんのわき腹にメスを入れた。これは腹に溜まった水を抜くための作業なのだが、意外にも(?)この作業についてはあまり抵抗がない。美少女の体を傷つけるということなのだが…まあ、白衣とか着てるし、あまり変態的ではないから、いやらしく感じないのだろうと思う。
わき腹を、ぐっ、と押し溜まった水を出す。ここで薬剤の登場。まず注射前液と呼ばれる、文字通り細胞を固める動脈液を血管に注射する前に、血液の通りをよくするもの。反凝固剤と呼ばれるクエン酸塩、シュウ酸塩、フッ化物、カリシュウム隔離剤などがメインである。
これをまず注射器…と言っても機械でできたやつだが、それを血管に刺す。あー痛いけどちょっと我慢してねー。で、注射前液を心臓の鼓動に合わせて注射。どん、どん、どん。
心臓の鼓動のリズムが小気味いい。
次に、先ほどと同じ要領で動脈液はを脈に注入して、細胞組織が保存されるようにする。動脈液に用いる薬品は大体同じものであるが、遺体の状態によって多少配合の割合が異なってくる。主な成分はホルムアルデヒドと凝固剤である。どん、どん、どん。
次の過程では主に、眉を整えたり爪を切ったりする作業なのだが、
「うーん…別にやることないな、この辺は…」
一流たんにそんなみっともない一面はない。まあ、当たり前か。なんてったって天使なんだし。鼻腔を脱脂綿で軽く拭いておくことだけはした。