puppet title-3
よーし。今回の宇桜優伊奈の復讐が終わったら、きっと私のコレクションにしてあげるからね!楽しみに待っててよ!
「あっ、ごめんなさい!全員死んじゃったって言いましたけど、本当は、大半が行方不明になっているだけで、死んじゃいないはずです。全員死んだってのは生徒の流した勝手な噂なんです……って、あの、聞いてます?」
「……んっ?ああ、ちょっと意識は飛んでいたがちゃんと聞いていたよ。紳士たるもの目下の者の話でもしっかり耳を傾けるものだからね」
「えー?しっかり耳を傾けたのに意識は飛んで点ですかぁ?おじさん、それって矛盾してますよう」
そう言って少女は笑う。私の辻褄の合わない発言を、責めるどころか、笑って許してくれると言うのだ。この少女の屈託の無い笑顔ときたら…
嗚呼…萌える…
「それでですね、話にはまだ続きがあって…ってホントにちゃんとしてくださいよ?聞いてくださいよ?聞いてます?意識こっちに向けてください?」
「えっ?ああ。いや、大丈夫、大丈夫だ。続けてくれ」
「ホントに大丈夫なんですかね〜?それでですね、あのぉ、どうも最近、うちの学校に、あのですね、信じてくれないかも知れないんですけど」
酷く焦らすな…もしかしたらこの子、心が綺麗でいけない事を口にするのをためらってると言うより、単に子悪魔的な悪戯っ子なのかも知れないな…でもまあ、それもそれでいいな…
「学校に、ですね、変な…って言うかなんていうか、訳の分からないって言うんですかね?とにかくどうしてこんなことになったの?みたいな…その、死体が、置かれる様になったんです。美術部員がいなくなってから、なんですけど」
「……なるほど。ちなみに学校では、その最後の一人の美術部員が他の部員や顧問を殺したり、おかしなやり方で人を殺している、と噂になっているんだね?」
「ええ、まあ。やっぱり分かりますか?」
「さすがにね」
つまりはその最後美術部員が、私の大切な大切な宇桜優伊奈を殺したと言うわけか。
「ちなみにその子、名前は?」
「富田一流です。富士山の富に田んぼの田。一流と書いて、とんだいちる」
一流と書いて『いちる』と読むのか。変わってるな…というか変だ。まあそれもそうか。素敵で詩的な私の宇桜優伊奈を殺したのだから、名前もそれくらい変なくらいがちょうどいい。
「分かった、ありがとう。引き止めて悪かったね」
「い〜え。なんてこと無いです。最近物騒だから気をつけろって大人は言うけど、やっぱ世の中そんなに平和じゃないわけじゃないですよねぇ」
うんうん。さすが私だ。ちょっとした会話で少女の信頼を得てしまった。マスクと言うのはやはり重要だな。
「それじゃあ、もう私帰りますね」
「ああ、もう暗いから気をつけるんだよ」
「そうですね〜。まだ5時なのにねぇ。こんなに暗くなっちゃいましたねぇ。どうも今年は春が遅いですね。それじゃあおじさん、またいつかお話しましょー」
「ああ、さようなら」
そうして少女は大きく手を振りながら、後ろ向きに小走りで走っていく。ああ、あれでも高校でなんだよなあ…いいなあ。可愛いなあ。欲しいなあ。
「おっと。その前に、だ」
そう、やっと復讐する相手が分かったのだ。よくも私の優伊奈ちゃんを殺してくれたな。どうせ頭の悪い、平素からいやらしい妄想ばっかしている変態クソペドサド野郎に決まってる。孤高の芸術家気取りやがって。私の恋敵でも演じてるつもりか?貴様みたいな奴は私が生き地獄を味合わせてやる!
……それが終わったら、さっきの少女をコレクションにしよーっと!