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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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接点-1

午後の授業は眠くて仕方ない。


私はシャープペンシルをクルクル回しながら、日本史の教科書をぼんやり眺めていた。


日常生活では使うことはない単語の羅列が目をチカチカさせ、教科書読んでいる先生の低い声もやたら眠気を誘う。


いつもならこんな穏やかな日が射す午後の授業でも、眠いなんてこともなく授業に集中していたのに、最近は考え事ばかりで夜はまともに眠れなくて、今頃になって眠気が襲ってくるのだ。


眠くて頭の中が働かないのに、なぜか郁美の顔や、土橋修の顔だけはやけに鮮明に浮かんでは消えてゆく。


郁美から土橋修に振られたと告げられた日から一週間、私はずっとこんな感じでボーッとしてばかり。


恋愛で泣かされる事なんてなかった郁美の涙にひどく動揺し、土橋修に対して怒りを覚え、郁美の頼み事である“土橋修と会わせる計画”を勢いで引き受けちゃったはいいけれど。


どうやって郁美が会いたがっているかを伝えようか。


とにかく、別れて携帯番号を替えるほどだから、奴は郁美とよっぽど顔を合わせたくないと思う。


それを説得させなければいけないのだから、奴とはある程度面識を持っておかなくてはいけないだろう。


ただ、私は同じ高校だけど、土橋修とはクラスも違うし、ましてや話なんてしたこともない。


土橋修は私のことを知っているだろうか。


……多分知らないだろうな、こんなブスで地味な女なんて。


私は、とにかく自分の容姿にコンプレックスがあった。


背は160センチと標準だけど、華奢な郁美とは正反対のガッチリ体型。


写真で見ると他の女の子達は細くて華奢なのに、私だけがなんだかたくましく見える。


顔だって、もちろん可愛くない。


小さな一重の目にやや濃いめの眉毛とだんごっ鼻が特徴的な男顔がとにかくコンプレックスだった。


頬にはポツポツとした赤いニキビが存在感をアピールしている。


少し伸びた黒髪のショートボブは、元々髪の量は多いし、ゴワゴワと硬いので、野暮ったく広がってるし。


私は自分の素材をよく自覚しているので、お洒落や美容には無頓着だった。


と言うより、お洒落したくても、周りに「ブスのくせに色気づいてる」なんて笑われるような気がして、髪型一つ変えることすらためらわれた。


もし、自分の容姿が郁美みたいだったら、お洒落やメイクも頑張って、かっこいい彼氏を作って、楽しい高校生活を送るのに。




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