暖かな氷の世界 * 流血表現があります-6
***
それから、長い長い年月が経った。
「あら?」
赤子を抱いたサーフィが、僕を見てパチリと瞬きをする。
「どうかしましたか?」
「あなたが今…………見間違いですね」
彼女はクスクス笑った。
「なぜか一瞬、小さな子どもみたいに見えました」
「ふぅん……」
椅子の背もたれに頭を預け、ヘルマンはゆっくり目を閉じた。
(また悪戯しましたね?)
(シャルをちょっと見ていただけだよ。君が父親になるなんて、まだ実感わかなくてね)
(異種族間ですから確立は低くとも、する事はいたしておりましたから)
(……品がないなぁ)
白銀に凍てついた世界で、僕はヘルマンと寄り添い座っている。
あの小さな書庫でしていたように……。