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二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

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想う兎-1

 シーンと静まり返った生徒会室。
 今日は、ヨウコがいない。彼女がいないからといって、帰るわけにもいかない。
 昨日いなかったツキコがいるからだ。
 
 ヨウコもツキコも、髪が長い。ヨウコは栗色のふわっとしたクセのある髪をしていて、それが爛漫な彼女の性格を表しているように思えた。
 眼の前に居るツキコの髪は、透き通るような黒色で、絹糸を思わせる黒髪が背中の方に流れている。
 切れ長で涼し気な瞳は少々冷淡にも見えるが、真面目で優しくてシャイな性格も俺は知っていた。
 彼女のことは、小学生から見ているからだ。
 
 そんな真面目な彼女が、今日は少し気もそぞろといった風に見えて、なんとなくキョロキョロと視線が彷徨っている。

「あの、タムラ君」
「何、ハヤカワさん?」

 小学校の頃は、お互い名前で呼び合っていたが、中学に入るといつの間にかそれが苗字に代わり、一緒に遊んだり話したりする事もなくなっていた。
 たまたま中学、高校と同じ学校に入ってはいるが、交流自体はほとんどなかったのだ。
 この生徒会で顔を合わせるまでは。

「昨日、何でドアの鍵、かかってたの?」
「えっ!? いや、それは、会長のイタズラというか……会長、お茶目だからさ?」
「イタズラにしても……男女が鍵のかかった一つの部屋にいるなんて」
「何を言うんだよ、ここは、学校の中なのにさ」
「そうだけど……」

 ツキコのスッと伸びた細い眉が、不審げに曲がって、その瞳が俺を見つめている。
 学校の中なのに、彼女の指摘通り、俺は顔から火が出るような事をしてしまっていた。
 ツキコの手前、努めて冷静に対応しようと考えた。

「あ、そういえばさ、英語の弁論の方、上手くいってる?」
「うん。でも、わたしが出る訳じゃないから。わたしは少し教えてるだけよ」


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