AVタイム-3
「さて、」春菜が言った。「いよいよ抱き合って、クライマックスまでのシーンなんですけど、」
「ほ、本当にいいのか?ルナ。」
「もうここまできて後に引けるのか?健太郎。」ミカが言った。
「引けるわけないよね、ケン兄。」龍がおかしそうに言った。
「お、お前が言うなっ!だいたい、お、俺がこれからセックスする相手ってのは、お前の母親なんだぞ?平気なのかよ。」
「俺は、今はミカという女性を母さんだと思ってないからね。」
「はあ?!」健太郎は呆れた。
「芸術家、アーティストっていうのは、物事の本質を見極めて仕事をするもんだ。公私混同はタブー。わかる?ケン兄。」
「さすが龍くん。よく解ってるよ。」春菜が嬉しそうに言った。
「勝手にしろ。」健太郎は観念したように言った。
「クライマックスはどうします?ミカさん。」
「え?どうって?」
「私としては、お二人が最高に感じて、同時にイく、っていう映像が撮れればいいんですけど、」
「俺、ミカさんの中には出さないから。」健太郎がすかさず言った。
「どうして?」ミカが意外そうに言った。「今は安全期だ。遠慮するな。」
「そんなの関係ないよ!だ、だって考えてもみなよ、」健太郎がムキになって言った。「旦那さんのケンジ伯父もいて、息子の龍も見てて、その上俺の彼女のルナも見ているんだ。そんな堂々と不倫めいたことなんかできるわけないじゃない!」
「そんなこと言って・・・。さっきからケン、ミカさんにいっぱいキスもしてるし、おっぱい揉んだり、あちこち触ったりして感じさせてるじゃない。今さら何言ってるの?」
「そうだそうだ。別に俺もかまわんぞ、健太郎。」
「な、なにさらっと言ってるの?ケンジ伯父まで。」
「じゃあお前は、」ミカが口を挟んだ。「あたしと繋がって、動いて盛り上がって、どうやってイくんだ?」
「演技でカバーする。」健太郎はきっぱりと言った。「俺が『イく』って言って『うっ!』って呻き声を上げたら、ミカさんもいっしょにイく演技をしてよ。」
「なんじゃそりゃ。」ミカが心底呆れたように言った。「演技でイく、なんてAV嬢みたいなことができるか。まっぴらごめんだね。」
「って、これAVなんでしょ?そういう映像が撮れさえすればいいんでしょ?」
「つまんない。」春菜がぽつりと言った。
「だよな?」ミカが言った。「あたしは、お前にイかせてもらわなきゃ満足しないんだよ。観念しろっ!」
「そうだ。観念しろ、健太郎。」ケンジも腕組みをして言った。
「またケンジ伯父までっ!」
「別に、二人ともいっぱい感じて、何も気にせずいつもどおりのフィニッシュでいいんじゃない?ケン。」
「周りにこんなに目があったんじゃ、たぶん俺、イけないよ。」
「あたしは別にイけるけど。」ミカが言った。「かえって興奮するじゃないか。」
健太郎は真っ赤になったまま口をとがらせて反抗的に言った。「じゃ、じゃあ、ミカさんはイっていいよ。ミカさんがイったら、俺もイったふりをしてフィニッシュってことにするから。」
ミカはにやりとしてケンジと目を合わせた。ケンジも同じようににやりと笑って言った。「よし。わかった。健太郎、それでいいよ。」
龍がケンジに耳打ちした。「何か企みでもあるの?ひょっとして。」
ケンジも龍に囁いた。「ああ、期待してろ。」