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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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誠実な男?-7

「グロいって……、お前だけに限った話じゃねえだろ」


「だっ、だって……こないだ鏡で確認したらあまりに気持ち悪くて吐きそうになっちゃったもん!

こんなの見せたら絶対優真先輩に嫌われちゃう……!」


そう、セックスに対して怖がっていたのは、アレを見られて優真先輩に嫌われるのが一番の理由だった。


優真先輩はセックスの経験はあるみたいだし、アレを見られて元カノと比べられて、幻滅なんかされたら生きていけない。


すっかり取り乱したあたしは、人目も憚らず頭をガリガリ掻きむしり始めた。




すると。


ポンポンと優しく頭を叩かれた感触。


驚いて顔を上げると、臼井陽介は片眉を上げて苦笑いを浮かべていた。


「気にしすぎだよ、お前は」


「だって……」


「好きな女だったら、それがいくらグロいとしても全然気になんねえもんさ」


「……ウソ」


「ウソじゃねえよ。好きな女ならそもそもグロいなんて思わねえよ」


「…………」


なんでか、氷がゆっくり溶けていくように、あたしはコイツの言葉がじんわり染み渡ってくる。


チャラいはずの男の言葉に、なぜか嘘は言っていないような気がした。


半泣きでガシガシ掻きむしった手が止まり、ゆっくり膝の上に落ちていく。


「お前は彼氏の前でカッコつけすぎなんだ。いっぺんそういうプライドも何も捨てて、ありのままを見せてやれよ。

彼氏のことを信じてたらできるだろ?」


そこには、いつもの茶化したようなにやけた顔はなく、優しく微笑む顔があった。


初めて見たそんな表情に、顔が熱くなる。


「大体、そんなことで嫌うような男じゃねえんだろ、その彼氏は」


「……多分」


「だったらありのまま、見せてこいって。大丈夫だから」


力強く言うその口調に、なぜかホントにそんな気がしてきた。


「わかった」


あたしがそれだけ言って頷けば、奴は安心したように手を離して、そのまま再び煙草を口にくわえた。


不思議だ。大っキライだったコイツに、輝美にも言えなかったような、くだらない、でもあたしにしては重大な悩みを打ち明けることができるなんて。


若干怖さは残るけど、優真先輩に飛び込む覚悟はできた気がする。


あたしは大きく伸びをすると、臼井陽介の顔をジッと見つめた。


「ん、何だ?」


でも、こちらを向かれると気恥ずかしさで目を反らしてしまう。


でも、言わなきゃ。


「臼井くん、あたしの悩みをバカにしないで聞いてくれて……ありがとね」


そこまで言うと勝手に顔が火照りだしてしまい、あたしはそれを悟られないように売店の入り口脇に置かれていた簿記やらTOEICやらの資格講座のパンフレットに視線を移した。




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