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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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誠実な男?-8

あたしがコイツの顔をまともに見ないでお礼を言った理由は二つ。


珍しくあたしが殊勝気味にお礼を言えば、コイツは絶対茶化してきたりするのが見え見えだったから。


それで、いつもならあたしが怒り出して手が出てしまうというお決まりパターンに陥る。


きっと顔を見れば手が出てしまうとわかっていたから、あたしはあさっての方を見たのだ。


もう一つの理由は……と言うと。


なんでか、話を真面目に聞いてくれた時の真剣な横顔、あたしを励ましてくれた優しい微笑みにノックアウトされそうになってしまったから。


でも、それは、その、アレよ。


ギャップ萌えってやつなんだ、きっと。普段嫌な奴がちょっといいとこ見せれば二割増でいい人に見えるってやつ。


多分、ギャップマジックに一瞬だけやられそうになっただけのことに過ぎないんだ。


だから、妙に照れ臭くなったってのは、あたしの胸に閉まっとこう。


だからあたしは、その気恥ずかしさを振り切るため、おそらく茶化してくるであろう臼井陽介対策を頭の中で練り出した。




しかし、一向奴に動きが見られない。


おそるおそる臼井陽介の方を見れば、なんと奴は顔を真っ赤にして口元を押さえていたのだ。


押さえていた手で挟んでいた煙草からは、細い煙が立ち上っていて、赤い顔とやけに対照的に映った。


「ど、どうしたの?」


目をまん丸くして彼を見たら、ゴホンという咳払いをしてから灰皿に灰を落として視線を下に落とした。


「いや、まさかお前からそんなしおらしい言葉を聞くとは思わなかったから」


アレか、コイツもギャップ萌えってやつを感じたのか?


照れた顔の彼が妙に可愛く見えて、あたしはニシシと笑いながら俯いた顔を覗き込んだ。


「何、あたしに惚れちゃった?」


形勢逆転。いつもあたしをからかっていたんだから、これくらいの冗談、別に構わないよね?


「誰がてめえみたいな……」


「「ゴリラ女」」


上から言葉を被せてやれば、見事に息の合ったハーモニー。


それがなんだかおかしくて、あたしは大口開けて笑い出した。




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