海-3
マユミは一人で焼きトウモロコシと飲み物を買いに行った。
「ところで、」ケンジが言った。「ケニー、おまえのそのでかい荷物は何なんだ?」
「これか?これはお前らのためにわいがわざわざ持ってきてやったボートや。」
「ボート?」
「大人二人乗りのゴムボートや。」
「なんでそれが俺たちのためなんだよ。」
「ケンジ、お前マーユの水着姿見てるだけでは満足せえへんやろ?そのうちきっとお前らは我慢できんようになるはずや。」
「そ、そんなこと・・・・。」
「いいや、間違いなく、なる。そやけど、人目があったら思う存分愛し合うことはできへん。そこでこのゴムボートが必要や、ってことやんか、鈍いやっちゃな。」
「ケニー・・・・。お前本当に俺たちのことを思ってくれてるんだな。」
「思とる。それに加えてケンジ、お前の習性もよー解っとる。」
「習性って・・・。」
「納得したら手伝うてや。」
ケネスは足踏み空気ポンプでそのゴムボートに空気を入れ始めた。
「こ、これは思った以上にハードな作業・・・」ケンジは汗だくになりながらその作業を続けた。「おい、ケニー、交代してくれ。」「よっしゃ。」
そうして二人は小一時間かかってようやくその二人乗りゴムボートを完成させたのだった。ケネスはへとへとになって砂浜に大の字になった。「あ〜しんど。」
「お疲れさま、ケニー。はい、トウモロコシ食べて。」
「おおきに、ありがとう。」ケネスはマユミから焼きトウモロコシを受け取ると貪るように頬張った。
「ケン兄も、はい。」
「ありがとう、マユ。」