夏-5
遊んでいたという割に、早坂さんは期待したほどの技術はもっていなかった。
「なあ、感じてんだろ?言ってみろよ」
行為の最中、早坂さんはこういう類いの事を頻繁に言っていた。
なんとなく声にぎこちなさを感じて、彼が不安がっているような気がした。
虚勢をはっているけれど、本当は気の弱い人なのかもしれない。
終わったあと、私は、もうだめ、といいながらぐったりして見せた。
彼は軽率そうに笑っていたけれど、安堵の表情を浮かべていたのを私は見逃さなかった。