約束-11
龍がケーキの上に乗せられていたラム酒漬けのチェリーを一つ、指でつまんだ。「ねえねえ、真雪、」
「何?」
「これ、口に入れて、キスして。」
「えー、どうしたの?急に。」
「俺、お酒飲めないから、間接的にお酒を味わってみようかと思って・・。」
「この前、自分で食べてたじゃん。それ。」真雪が呆れたように言った。
「いいじゃない、お願いだから。」
「もう、龍ったら。」真雪は照れ笑いをしながら龍に向かって口を開けた。龍はつまんだチェリーを真雪の口に放り込んだ。真雪はそのまま龍の頬を両手で包み込み、唇同士を合わせた。
龍は舌を真雪の口の中に差し込みながら、真雪の背中に腕を回した。「ん・・・。」真雪が目を閉じて小さく呻いた。
プツッ。真雪のブラのホックが外された。真雪はとっさに龍から口を離した。「あ!」
真雪は龍の頬を両手で押さえつけたまま、じろりと睨んで言った。「龍っ、あなた最初からこれをやるつもりだったんだね。」
「えへへ、」龍は真雪のブラの肩紐に手を掛けた。「フロントホックだったらできなかった。」彼はにこにこしながら言った。
真雪は龍から手を離し、彼がブラを外すのを手助けした。
「もう、龍ったら・・・。」
「真雪ー・・・。」龍は再び真雪の背中に手を回し、露わになった真雪の二つの乳房に顔を埋め、鼻を谷間にこすりつけた。
「そんなに気持ちいい?あたしのおっぱい。」
「言ったでしょ、一晩中こうしていても満足かも、って。」
「あたしも気持ちいいよ、龍にそうされてると。」
「んー・・・・。」龍はずっと顔を二つの乳房に擦りつけていた。
「もういいでしょ?龍、そろそろケーキ食べようよ。」
「また、後でしてもいい?ベッドで。」
真雪は笑って言った。「いいよ。思う存分。でも、サラダだけだと物足りないよ。オードブルからスイーツまで、全部食べようね。」
「わかってるって。今なら二食分ぐらい食べられるかも。」龍も笑った。
「やだー、龍のエッチ。あたしお腹いっぱいになって動けなくなっちゃうよー。」
「あたしね、」真雪が、切ったケーキを二つの皿に移しながら言った。「あなたに初めて抱かれた時のことを、今思い出してる。」
「わけがわからないまま、終わってたあれだね。」
真雪は笑った。「そう。わけがわからなかったあれ。あれからあたしたち、何度も抱き合って、セックスもそれなりに上手になったけど、」真雪は龍のケーキ皿に砂糖漬けのチェリーをもう一つ載せた。「あの時にあなたにあげたチェリーと比べて、どう?」
龍もまたラム酒漬けのチェリーをつまんで同じように真雪の皿に載せた。「俺だって君にチェリーをあげたでしょ。」
「このチェリーみたいに、甘くなったかな。」
「摘み立てのチェリーの味はよくわからなかったけど、今はそれをゆっくり味わうことができるよ。すっごく甘く、美味しくなってるもの。」
「そう。」真雪は嬉しそうに言った。「龍のチェリーも、そうだよ。」
「真雪、もっとくっついてよ。さくらんぼみたいに。」
「なに甘えてるの?龍。」
「くっついてケーキ食べたい。」
「龍ったら・・・・。」
二人は並んでぴったりと身体を寄せ合った。彼らの背後の暖炉でぱちぱちと薪がはぜて、炎が勢いを増した。
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