実習-8
真雪は自分の部屋のドアを開けた。人がいた。「えっ?!」真雪は小さく叫んだ。
それはユウナだった。
「真雪っ!」振り向きざまにユウナは真雪の頬を平手で力任せに殴った。ばしっ!乾いた音が部屋中に響いた。
「あんた!何てことしてるのよ!」
真雪は大きく目を見開いて、ユウナに殴られ赤くなった左頬を押さえた。
「自分が何やってるか、わかってるの?!」
「ば、ばれちゃったんだ・・・・・。」
「なに軽く言ってるのよ!」
「・・・・ユウナには迷惑なんかかけてないじゃん。」
「かけてる!あたしがどんだけあんたのこと心配してるか、わからない?!それにっ、」ユウナは真雪の両肩を強く掴み、激しく揺さぶった。「龍くんに、龍くんに対して何とも思わないの?真雪っ!」
「・・・・・。」
「あんたのやってることは裏切りだよ、裏切り!」
「・・・・知ってる・・・。」
「だったらどうしてこんなことしてるのよ!」
「・・・あたしにも、よくわからない・・・・。」そして真雪は顔を上げて、きっとユウナの目を見据えた。「よくわからなかったんだよ、自分にだってっ!」大粒の涙が真雪の大きな目からぼろぼろとこぼれ始めた。
真雪はユウナの手を振り払い、ベッドに突っ伏した。「龍、龍、龍!龍龍龍っ!!」真雪は泣きわめいた。
「真雪・・・。」ユウナはベッド脇にしゃがみ、真雪の背中をさすった。いきなり真雪は自分のバッグからケータイを取り出し、乱暴に床に投げ捨てた。
「ま、真雪、」ユウナは床に落ちた真雪のケータイを取り上げた。真雪はユウナに抱きついた。「許して!龍!あたしを許してっ!龍、龍龍龍龍っ!龍、龍!あああああああーっ!」そして龍の名を何度も何度も大声で呼びながら激しく泣き叫び続けた。