卒業-16
翌日、タケシが現れた。
顔のあちこちに絆創膏が貼られて、少々足を引きずってもいた。
しかし、眼の色はやはり昨日と同様に変わりがなく、むしろ何か達成感で満ちているようだ。
「随分、ボロボロにされちゃったのね。せっかく色々教えてあげたのに」
あたしが、彼の顔の絆創膏をなぞりながら言うと、タケシは少し笑って答えた。
「ショウコさんに習ったことは、一切使っていません」
「……何故?」
「僕の大切な人から教わったことですから」
「随分、気障なことを言うのね。それで、片付いたの?」
「ええ、たぶん。連中よりショウコさんの方が余程強いって、気づいちゃいましたから」
あたしは、貼られた絆創膏を指で弾いてやった。
タケシは少し呻いて、その絆創膏をさすっている。
最初の頃は、あたしに話しかけられてビビっていた少年だった。
士別れて三日なれば刮目して相待すべし。
カビの生えたような格言だが、案外そういう事はあるのかもしれない。
「あの、それで……ショウコさん。僕は、ショウコさんのことが――――」
あたしは、タケシの大きな体に抱きついて、そのまま唇で彼の唇を塞いだ。
唇をつけるだけのキスをしばらくの間、続けた。
「タケシ君、なかなかいい男になってきたじゃない?」
「は、そ、そう、でしょうか?」
「本当にそうかは、これから試してあげるわ。ほら、ここ硬くなっちゃってるし」
あたしは、ジャージの上からタケシの股間を撫でてやる。
タケシは今のキスで、勃起してしまったようだ。
「え……え……?」
「久しぶりだから、溜まってるんでしょう? でも、我慢しなきゃ駄目よ」
先日の大きな木の木陰の芝生にタケシを寝かせて、あたしは彼の下着ごとジャージを下ろして勃起を軽く握っている。
それに顔を近づけると、若い雄の臭いがして、頭がボーッとしてくる。
そのまま口に挿しこんだ。口の粘膜で、彼の勃起が極限まで膨張しているのがわかる。
タケシが、くうっ、と呻いた。
それが愛らしくて、舌先で先端を刺激しては、全体を吸い込んで頭を往復させた。
タケシが何かに耐えるような顔をしている。
その顔を見ると、自分自身の股間にも何かが満ちてくるのを感じた。
この口の中のものを、自分の中に深々と挿しこみたい。
タケシのものが、もうひと回り大きくなったように感じた。