輪姦-1
翌日、木曜日。いくつかの学習相談を受け、母親たちの終わりの無い愚痴に耳を傾け、教室にやってくる生徒たちの相手をしているうちに時間が過ぎた。すでに授業は終わり、生徒も講師も教室には誰ひとり残っていない。マヤは今日の報告書に記入し、本部に送信した後に教室を施錠した。軽いめまいと貧血のような症状。ここ数日はずっとそんな状態から抜け出せずにいる。
マヤはポケットを探り、携帯電話を確認した。小さなランプの明滅。遊び相手の父親たちから誘いのメールが数件……適当に返信を打つ。そして部長からのメールが1件。
『0時まで待ってやる。絶対に来いよ』
部長の蛇のように陰湿な目を思い出す。社長にするようにサービスしろと言っていた。一度くらい相手をするのはどうということもないが、この手の要求はエスカレートしていくに決まっている。頭痛がひどくなる。
時刻は23時を過ぎている。部長のいる場所までは徒歩と電車で30分以上はかかるだろう。マヤは企画書をプリントアウトしたものとデータの両方をバッグに入れ、すべての電源をオフにして教室を出た。