投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

サクラ大戦〜独逸の花乙女〜
【二次創作 その他小説】

サクラ大戦〜独逸の花乙女〜の最初へ サクラ大戦〜独逸の花乙女〜 2 サクラ大戦〜独逸の花乙女〜 4 サクラ大戦〜独逸の花乙女〜の最後へ

サクラ大戦〜独逸の花乙女〜-3

「おかえりない、アスカさん!」
元気を絵で描いたような少女に対し、アスカは微笑み返す。
「ただいま、ミリー」
そして後ろの二人を紹介する。
「この二人は新しく配属になった天城君と東郷さんよ」
ミリーは二人に視線を移すとニカッと笑って口を開く。
「私は売店で売り子をやってるミリアリー・シュミットです!ミリーって呼んでくださいね♪」
こんな少女のどこにこんな元気があるのか、と疑いたくなるくらい溌剌と喋っている。
「了解、俺は海軍少尉天城龍一郎、呼び方は好きにしてくれ……」
「じゃあ、龍さんって呼びますね♪」
こんな対応をされても、ミリーは元気だ。
もっとも龍一郎の対応など気にかけてもいないのかも知れないが……。
「私は東郷かすみって言います。これからよろしく、ミリー」
「よろしく、かすみさん♪」
二人の自己紹介が終わったのを見計らってアスカが口を開く。
「ミリー、支配人はお部屋かしら?」
訊ねられたミリーは首を傾げて、元に戻すと答える。
「多分、いつものあそこじゃないでしょうか?支配人室には居られませんでしたし」
「ありがとう、それじゃあ、仕事に戻って良いわ」
「はいは〜い♪わっかりました!」
ミリーはスキップしながら売店の方に帰っていく。
「それでは行きましょうか、私についてきて頂戴」
そう言うとアスカはある場所に向かって歩き出した。
そこはエレベーターホールであり、いつものあそことは屋上か、地下であることがうかがえる。
三人はエレベーターに乗ると、アスカは屋上に向かうボタンを押した。
ブゥゥゥゥ……
エレベーターが屋上に向かって動き出すとアスカが口を開く。
「これから会うのがシアターの支配人こと華撃団司令、ダイリー・ティルピッツ元中佐よ」
話終えるとエレベーターが音を立てて屋上に着いたことを知らせる。
エレベーターの扉が開くと、そこにはフェンスに囲まれた公園があり、子供達が何人か遊んでいた。
公園のベンチに腰掛けていた男性がこちらに振り向く。
「あれがダイリー・ティルピッツ支配人よ」
見ると男性はベンチから立ってこちらに向かっていた。
「ご苦労様だったね、アスカ君」
手を挙げて、アスカの功をねぎらう。
「ここではなくて、支配人室で話そうか」
確かにこんな場所でおおっぴらに話してしまえる内容ではないだろう。
またエレベーターに乗り、シアターまで降りると、一階の支配人室に四人は入る。
そこに用意されている椅子に腰掛けるとダイリーは口を開く。
「ようこそ、シアター『ミラビリーシャ』に」
机に肘をのせながら続ける。
「ここが君達が配属された独逸華撃団本部だ、本来ならもう一人隊員がいるんだが、今日は都合上来ていない」
ダイリーは表情を弛めると軍事的な話から打って変わって、業務的な話を始める。
「さて軍事的な話は終わりだが君達二人にはまだ続きがある、ここミラビリーシャは極度の人材不足なんだが、君達二人は華撃団の仕事以外にも仕事がある」
(まさか、大神司令のように雑用役を任されるのでは………)
龍一郎のイヤな予感は的中する。
「天城君、君にはモギリをはじめとして雑務を担当してもらう、かすみ君も役者として舞台に上がってもらう」
ダイリーの注文にかすみがバツの悪そうな顔で応える。
「しかし、私は舞台なんて上がったことが無いんですが……」
それに対してダイリーは問題ない、と言わんばかりにかすみの方を向いて話しかける。
「実はミラビリーシャはまだ開幕前なのだ、開幕まであと一ヶ月間ある、かすみ君には役者としての練習に励んでもらいたい」
かすみの顔は不満げだが仕方ないことである。
「わかりました、やってみます」
「それでは話は終わりだ、解散してくれたまえ」
皆が支配人室を後にしようとすると、ダイリーが思い出したように龍一郎を呼び止める。
「天城君、君には話があるから、ちょっと待ってくれ」
龍一郎は開けかけた扉を閉め、そちらに向きなおす。
「支配人、お話とは?」
龍一郎の質問にダイリーが顔をしかめて答える。
「ついさきほど、軍上層部から連絡があり、輸送中のアイゼンギガント?が強奪されたらしい」
「……!」
「輸送中の部隊は交戦した形跡も無いまま全滅しており、救援要請も起きていない」
「ということは……」
龍一郎の行き着いた答えにダイリーは頷く。
「内通者がいたか、霊的妨害を受けたか、どちらにせよ君達独逸華撃団の初任務になるだろう」
アイゼンギガントは恐らく今存在する最強の霊子甲冑であり、軍隊ではとてもではないが歯が立たないだろう。
「アイゼンギガントの奪回、もしくは破壊が我々の任務だと?」
「そういうことだ、アイゼンギガントの行方は諜報部隊、蓮組が追っているから行方が判明次第、任務に就いてもらうことになるだろう」
ダイリーの話は理解できたが、一つ疑問が沸き上がった。
「しかし、なぜ自分だけにその話を?」
龍一郎の問いにダイリーは唇の端をつり上げて答える。
「それは、君が独逸華撃団の隊長に内定しているからだよ」
「!?」
予想外の展開に龍一郎は彼には珍しく表情が顔に出てしまった。


サクラ大戦〜独逸の花乙女〜の最初へ サクラ大戦〜独逸の花乙女〜 2 サクラ大戦〜独逸の花乙女〜 4 サクラ大戦〜独逸の花乙女〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前