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サクラ大戦〜独逸の花乙女〜
【二次創作 その他小説】

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サクラ大戦〜独逸の花乙女〜-2

第一話〜龍、独逸に舞い降りる〜
1928年 日本・海軍省

「天城龍一郎少尉、本日一二〇〇時をもって、ドイツ、ベルリンシアター「ミラビリーシャ」そして独逸華撃団へ配属を命ずる、出発は一週間後の〇九〇〇時である」
海軍の東郷太郎大将が座りながら目の前の男に命令する。
(シアター?帝国歌劇団の様なものか)
一抹の不安を残しながらも、龍一郎は返事をする。
「はっ、了解いたしました」
部屋から龍一郎が出ていくと奥の扉から一人の男が入ってくる。
「大神司令、これで良かったのかね?」
東郷が入ってきた男に訊ねる。
「はい、今ドイツでは正体不明の蒸気が暴れているそうです」
「ああ、そのために独逸華撃団が結成されたのだからね」
「私も資料でしか知りませんが彼なら、きっとやってくれるでしょう」

「へっくしゅん!」自宅に戻った龍一郎は鼻をさすりながら首をかしげる。
(風邪か……?、風邪などひいたことはなかったのに)

俺の名前は天城龍一郎、21歳の海軍少尉である。
今回の任務は東郷大将の娘と共にドイツに派遣され、先日結成された独逸華撃団に配属され、治安維持に務めよ、とのことだった。
俺は昔から霊力が高く、物心ついたときから、そのための訓練を行っていた。
そのために帝国華撃団の二次メンバーに名前が挙がったこともある。
だからといって、前線勤めもまだなのに、いきなりドイツに転勤とは、上のお偉いさんは何をお考えなのか。
一週間後……。
ドイツ行きの輸送船の甲板で俺は風に当たっていた。
「あんたもドイツ行きかい?」
いきなり後ろから声をかけられて振り向くとかなり長身の黒髪の女が立っていた。
「………」
俺が黙っていると女の方が口を開く。
「あんたが天城龍一郎少尉だろ、私は東郷かすみ、これからの仕事で一緒にやってくんだ、よろしく頼むよ」
明るい笑顔と共に差し出された右手を俺は躊躇いがちに握り返す。
「では君が東郷大将の一人娘のかすみさんか、これからよろしく」
とりあえずの挨拶が終わると俺は自室に戻ろうとした。
「もう少し話さないかい?風も気持ち良いしさ」
「申し訳ないが、これから定時連絡と機体の調整があるから遠慮させてもらう」
「そうかい?また時間があったら、話そうな」
かすみの残念そうな呟きを無視し、自室に戻る。
連絡を済ませて、格納庫に向かう。
格納庫にはある機体が積み込まれていた。
ーアイゼンギガント?ー
ロシア製のT34を欧州大戦でドイツが輸送中に強奪したアイゼンギガントを強化したものであり、機体性能は双武を上回るが、制御が難しく神崎重工に制御装置を依頼し、半年をかけて開発が終了したため、今回日本から、祖国に帰郷となったのである。
神崎重工によって開発された制御装置の点検と機体各部の点検が済み、もう一度甲板に戻る。
海を見ながら自分がなぜドイツに転勤になったか考える。
(華撃団が結成されたからといって、ドイツ人ではなく、なぜ日本人の俺なのか、欧州大戦でドイツは優秀な人材を多く輩出したはずたが……)
悩みながらも、1ヶ月の航海は終わりをつげようとしていた。
(もうすぐでドイツに到着か、考えても仕方ない、与えられた任務はこなすしかない……)
ーコンコン……
自室の扉がノックされ、かすみの声が次に続く。
「少尉、ドイツに着いたみたいだよ、一緒に降りようぜ」
「かすみさんか、今行くよ」
龍一郎は荷物を取って部屋を出る。
ロストック港に着いた船を降りると、さっそく華撃団の迎えが来た。
車から出てきたのは27、8歳位と思われる美女だった。
「はじめまして、私が独逸華撃団副司令のアスカ・ビスマルクです、よろしく」
と二人に微笑みかける、この微笑みなら大抵の男性は虜にできるだろうというものだった。
「お初にお目にかかります、自分は海軍少尉天城龍一郎であります」
「はじめまして、私が東郷かすみです。よろしく」
自己紹介を聞き終えると、アスカは自分の車を指差し言う。
「それではシアターに行きましょうか、二人は後部座席に乗ってちょうだい」
車に乗り込み、シアターに向かう三人。
緊張とほぼ初対面ということもあり、重苦しい沈黙が続く。
それに堪えきれなくなったかすみが龍一郎に話しかける。
「少尉は海外は初めてかい?私は日本から出たことがなかったから、すごく楽しみなんだよ、少尉はどうなんだい?」
本当に嬉しそうに話すかすみに対して、あくまで龍一郎は真面目だった。
「任務で来ている以上は楽しみも何も無い……」
「ははは……、そうかい?」
見かねたアスカが助け船を出す。
「まあ、そんなこと言わずに、異国で働くんだから、楽しむことも重要よ、それと自分達が守る街なんだからね、愛着を持ってほしいわ」
ハンドルを握りながらアスカは言う。
「着いたわ、ここがシアターよ」
車から降りると、目の前には豪華な建物が映った。
「ここがシアターか……、すげえな、大帝国劇場より大きいぜ」
呆然としているかすみをほっといて龍一郎とアスカはシアターの中に入っていく。
それに気付いたかすみが
「ちょ、ちょっと待ってくれ〜」
と慌てて追いかける。
入って気がついたのだが、まだ内装が整っていない。
(外装だけ?まだ開業していないのか?)
龍一郎が疑問に思い、周りを見渡していると、近くにいた少女が話しかけてくる。


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