サクラ大戦〜独逸の花乙女〜-16
こうなっては逃げ出すか、かなわないと知って襲いかかるかの二つの選択肢しか残っていない。
しかし、先程啖呵を大見得切って吐いたのだから逃げるなどどという選択は出来ない。
ならば…………。
「うおぉぉぉぉ!」
追い詰められた大男達は技術もへったくれもないパンチで龍一郎を弾き飛ばそうと襲いかかる。
飛びかかってくる先頭の男を相手の勢いを利用して後方に投げ飛ばし、ロクに受け身もとれずにもがき苦しむ大男を見て、残りの二人は恐怖に駆り立てられ龍一郎に襲いかかる。
さながら、肉食獣が自分より強い同種を前に悪あがきに立ち向かう様相を呈していた。
突っ込んできた二人の内の弟分一人の腹を蹴り飛ばし、うずくまった所にカカト落としを後頭部に決める。
泡を吹いて倒れている弟分二人を見て、逆上していた兄貴分は血の気が引いていくのを感じていたが、仇を取ろうと龍一郎に向かって構えを取る。
「遅い………!」
ーどさっ!
構えを整えた大男の懐に一瞬にして入り込み、顎にフックを当てて前かがみに倒れ込んでくる大男に駄目押しのハイキックを叩き込む。