記憶と妄想-10
足首から膝へ、太腿の内側をなぞって下腹部、乳房の膨らみを滑ってその頂点をたっぷりと撫でてから瞳へ、唇へ・・・。
富田はハァハァと呼吸を荒げ、熱い吐息を美奈子に浴びせる。
「美菜子ちゃん、灯りを・・・点けてくれないか?」
突然の申し出に、美菜子は戸惑わずにいられなかった。こんな身体を灯りに晒すなんて・・・。
「誰も居ないから・・・美菜子ちゃんの身体、僕だけに全部見せて・・・誰も見たことない、美菜子ちゃんの全部・・・」
富田の言葉に美菜子の身体がふらりと揺れる。美菜子は電灯の紐をゆっくり確実に引っ張りながら目を閉じた。
「美菜子ちゃん・・・」
どのくらい、目を瞑っていただろう。2、3分程度だったのだろうが、富田の吐息で満たされた部屋の中に消えてしまいそうなほど、美奈子にはとても長い時間に感じられた。
美奈子がそっと目を開けると、富田は両手を膝に置いたままじっとキャミソールの胸元を見ている。
「視姦なんてつまらないものだと思ってたけど・・・美菜子ちゃんのおっぱいは、堪らなくなるね。息するだけでぷるぷる揺れるの、知ってる?」
美菜子は思いっ切り首を横に振り、乳房もぷるんぷるんっと左右に揺れる。
「おおっと・・・」
富田が慌てて美菜子の両肩を押さえたが、間に合わなかった。
「ああ、間に合わなかったか・・・」
富田は残念そうに呟いたが、美菜子は肩に触れた富田の手が熱くて気が遠くなりそうだ。
(動かさないで・・・)
肩に伝わる熱が乳房を覆い始める。半開きになった唇から規則的に熱い吐息が漏れ始めると、富田の指が肩紐を潜った。
「美菜子ちゃんの、桃色になってく最高のおっぱい、見せてもらおうかな」
「あ・・・」
肩紐が外され、するりと腕を滑る。覆いを失った乳房がぷるりと灯りに照らし出され、富田は腰が抜けたようにベッドの縁に座った。
「ああ・・・」
美奈子が自分の身体を抱くように腕を組んだために、キャミソールは床まで落ちなかったが、今の富田には関係のないことらしく、富田は崇拝するように美菜子の乳房を見上げ、感嘆の声を漏らすだけだった。
「そんなに見られたら恥ずかしい・・・」
美菜子は富田の視線から逃れるように顔を背けたが、上気していく肌が首筋まで染めていく。