めくるめくBLタイム-3
「真雪、真雪!」
龍の声で真雪は目を覚ました。「はっ!」
「どうしたの?」すぐ横で裸の龍が上半身を起こし、心配そうに真雪を見下ろしていた。
「りゅ、龍!」
「うなされてたけど・・・・、怖い夢でもみた?」
「ゆ、夢?」
「がたがた震えてたし、『やめて』とかつぶやいてたけど・・・。」
「良かった・・・・。」真雪は両手で顔を覆って大きなため息をついた。
「どんな悪夢をみたんだい?真雪。」
顔を覆っていた手を離して真雪は言った。「聞きたい?」そしてくすくす笑い始めた。
「何だよ、今度は笑い出したりして・・・・。」
翌朝。真雪と龍、そして健太郎は三人で朝食のテーブルを囲んでいた。
「な、何だって?」健太郎が大声を出した。「お、俺、そんな変態じゃないからなっ!」
「わかってるよー。」真雪が少し申し訳なさそうに言った。
「ど、どうしてお前、そんな夢、みるかな。それとも、龍って潜在的にそんな趣味があるのか?」
「え?僕?」龍がコーヒーを飲む手を止めた。
「龍、お前真雪をそんな風に縛り上げたりしてるんじゃないだろうな?」
「じょ、冗談じゃない!そんなこと、するわけないだろ!」龍は真っ赤になって否定した。
「あたしにもわかんないよー。なんでこんな夢、みたのか。」
「まったく・・・・・。」健太郎は生野菜にドレッシングをかけ始めた。
「あんなひどいことするかどうかは別として、」真雪がトーストを健太郎に手渡して言った。「ケン兄って、実は龍のこと、どう思ってるの?」
「は?」
「抱きたいとか抱かれたい、とか思ったことないの?」
「お前何言ってんだ。龍はオトコだぞ。しかもいとこだ。そんな気になるわけないだろ!」健太郎はコーヒーを一口飲んだ。
「龍は?」
「僕は、ちょっとだけ、興味ある。」
ぶぶっ!健太郎は口に残ったコーヒーを噴いた。「ちょっ!ほ、本気かよ。」
「ケン兄になら、抱かれてもいいよ。だって、ケン兄、かっこいいもん。僕のあこがれだから。」
「やった!」真雪がはしゃいだ。
「ちょっと待て。マユ、何だよ『やった』って。」
「現実に見てみたかったんだ、あたし。めくるめくBLの世界。」
「お前平気なのか?おまえの恋人を兄の俺が寝取る、なんて普通じゃないだろ!異常すぎるっ!」
「それはそれ、これはこれだよ。」
「何がそれはそれ、だ。」健太郎は真っ赤になって再びカップを口につけた。
「でも、龍、」
「何?」
「ケン兄に、あんなひどいことしないでね。」
「しませんよ。でももしかしたら、僕がケン兄にされるかも・・・・。」
「いや、しないから。」
健太郎はカップをソーサーに置いた。龍は笑いながらトーストをかじった。
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