極限詭弁-1
はっ、と気付く。
視界が赤い。
ごしごしと顔を手で拭ってみても、唯赤くアカイ世界が広がるばかり。
でも赤い事以外は、至って普通の我が家のリビングに僕は立っている。
―?
僕は何をしていたっけ?
それより、何故こんなところに居るんだ?
今日は平日だから学校に行っている筈なのに?
僕は優等生だから―…
絶対に間違いを犯したりしない筈なのに。
おかしい。
おかしいぞ。
何か忘れているような。
テストでは常に校内トップレベルの僕なのに、
考えてみても考えてみても考えてみても…答えが出ない。
頭に靄がかかっているようだ。
まるで覚えたはずの数式をド忘れして、答案用紙とにらめっこしているときの様な、そんなモヤモヤ。
取り敢えず何かベタベタした液体がドロリと身体に纏わりついているのは確かで、
ソレのおかげで僕の視界はすっかり紅に支配されてしまったことは分かった。
―なんだか気分が悪い。
ひとまずシャワーだ。まだ真っ昼間だけれど。
働きに出ている親や学校から電話がかかってきても、なんとか言えば良い。
ゴッ…ゴトッ!
?
なんだ?コレは。
…ったく、母さんめ。
平日だからって、ちゃんと片付けしてないな。
それにしてもなんだコレ。ベチャベチャした液体にまみれて、汚らしい。
あとで文句を言わなきゃ。
ゴンッ…!
…………もう一つ。今度のは少し堅くて、脚に当たった瞬間、脛に痛みが走る。
全く腹が立つが…
―まぁ、気にしない。早くシャワーを浴びたい。
シャワーを浴びれば、この頭のモヤモヤも流れてくれるかもしれない。
『キュッ!…シャー』
―…
『シャー』
――……
ダメだ
視界は明るくなったけど、
何一つ思い出せない…
『シャー…』
「………………あと一人」
?
なんのことだ?
僕は何を…