成り行き-3
「ごっさま!」
「はい。お粗末さまでした」
食事を終え、食器を重ねて運ぶ私の手から、亨はひょいっとそれを奪う。
「洗うの僕がするよ」
「へ?何?明日雪でも降るの?」
「あのね」
いつも、片付けなんか押し付けてさっさと帰るクセに。
「実は下心があるんだ」
急に真面目な顔になった亨に思わずドキリとしてしまった。
し…下心って……まさか……?!
「リビングのテレビで見たいDVDがある」
「アダルト!?」
「違う違う。映画。それに、AVはさっき見たし。僕んちのテレビ小さいだろ?是非、この大画面で見たいんだ」
あ、何だ……変な事考えちゃった。
亨は苦笑して食器を流しに置くと、自分の鞄からDVDを取り出した。
「!!やだっ!それ私も見たい!」
大好きな俳優がカッコ良く写っているパッケージを見た瞬間、私の目がキラキラ輝く。
「よし。じゃあ、僕が食器を洗っている間に詩緒姉ちゃんが風呂に入る。その後、僕が風呂に入るから詩緒姉ちゃんはツマミを作る。オーケー?」
「オーケー!」
私は体を翻して自分の部屋へ行き、着替えを取って風呂場へ急いだ。
体を洗って湯船に浸かり、ツマミに何を作るか考える。
お酒はビールから始まり、焼酎に変わる……なら、茄子の素揚げに生姜醤油をかけたヤツと後は簡単にお菓子にソーセージ湯がいたのでいいか。
「よし」
ざばあっと勢い良く湯船から立ち上がった瞬間。
ガラッ
「遅いっ!」
素っ裸の亨が乱入してきた。
「きゃああっ!!?」
私は慌てて湯船に戻る。
「ったく、何で女は風呂が長いんだ」
亨は私の事なんか無視してさっさとお湯をかぶり、頭を洗い始めた。
「な、な、な」
驚きのあまり口をパクパクさせている私に向かって、亨は頭に泡をつけたままチラリと視線を向ける。