惜しげもなく揺れる乳房-2
「あ・・・明日から出張・・・」
隣の玄関前で立ち止まった夫は、何処を見るともなしにそれだけ言うと、階段に向かっていった。
「分かりました。用意しておきます・・・いってらっしゃい」
美菜子は崇男の足音が階段を降り切るまで見送った。
「ゴミ、ゴミ・・・」
部屋の中に戻り、ゴミの入った袋を掴んで廊下に出ると、隣の玄関が勢いよく開いた。
「あ・・・」
鬼頭が現れ、ドアが閉まって初めて美菜子の方を見た。
「あ、おはようございます・・・」
背広姿の鬼頭は、昨日のラフなスタイルより随分社会人らしく見える。と言うより、きちんと整えられた髪は学生には見えなかった。
「おはようございます」
美菜子が頭を下げる間に鬼頭は玄関に鍵を掛け、近付いてくる。降りるべき階段は逆方向なのに・・・。
「昨日は美味しいシチューをごちそうさまでした・・・あ、皿・・・夕方、帰ってきてからでもよろしいですか」
晩秋の空を思わせる清々しさを漂わせる鬼頭だったが、白い吐息で美菜子の髪を撫でるほど傍に立ち、視線を乳房に落とした。オフタートルのセーターは乳房の形を露わにし、開いた胸元から豊かな膨らみを覗かせている。ブラを着けていないので、あまり近くから見られると乳輪や乳首さえも見えるかも知れないのに、鬼頭は仰け反る美菜子の胸元を熱い吐息で撫でていく。
「あ・・・お皿は・・・」
鬼頭があまりに近すぎて呼吸も難しい。鬼頭の顔の下で乳房がぷるっぷるっと弾み始める。狭い廊下ではあったが、隣接する家屋とのプライバシーを守るために高さのある不透明なプラ板で囲われているせいで、美菜子と鬼頭の立つ廊下が住人以外の目に触れることはない。そのことが鬼頭を大胆にさせているのか、ふたつの膨らみに形成された深い谷間に吐息が忍び込んでくる。
「そうだ・・・今日、遅くなるかもしれないんで・・・」
「は・・・い・・・」
美菜子の呼吸も激しくなってくる。乳房が鬼頭の顔に触れそうなほどぷるりぷるりと上下に揺れる。あまり揺れたら乳首が擦れ・・・。
「お急ぎでなければ、明晩にでもゆっくり・・・」
擦れて隆起してきた乳首に、セーターの下に忍び込んだ鬼頭の息が吹き掛かる。
「急がない・・・から・・・ゆっくり・・・」
“ゆっくり”なんだっただろうか。そんなに覗き込まれたら唇が触れてしまう。