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若き亀やん、再び!(シリーズ3麻雀編)
【コメディ その他小説】

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反撃開始じゃボケー!-2

しかし、後の展開は簡単やった。支配人がダメージを推してテンパイした時は、作戦を実行しワザとノロノロとする。支配人にとってはテンパイすればするほど恐怖の悪循環となる。予想どおり支配人の集中力は時間が立つにつれてガタ落ちとなってきた。いや、それよりも初めてオレがトップになった頃には、かなりヤバい事になってきた。もう、テンパイとかの段階ではなく、普通の状態で苦しむようになってきた。見てるこっちの方も坊やがキュンキュンなりっぱなしや!

後は支配人自身が、金に対する執着心と坊やのダメージのどちらを取るかの問題や。そしてそれはついに来た。  

「ぐ、ぐぐぐぎ、お―――、もう、ア、アカン、救急車呼んでくれ〜〜〜」

支配人が音を上げたんや!

「支配人さん、朝の10時までやる約束でっせ。さあ、続きやりまっせ、オレの親やのに途中でなんか止めれませ〜ん」

「ぐぐぐ、か、堪忍や、死んでしまう〜」

「そんなん言われても、こっちはまだ負けてんのに勝ち逃げは行儀が悪いでっせ」

「わ、解った、ワシの負けでエエ、金要らんから堪忍して〜〜〜」

「うほっ!みんな聞いたか?」

「うおお!オレはやったんやな、オヤジ同志の勝負は負けたけど、その息子対決に勝ったんや!」

「一時はどうなるかと思ったけど、オレら勝ったんや!」

松原と岸和田は大喜びで勝った勝ったと騒いでいたが、ちょっと待て。

「何を言うてんねん。勝ったのはオレ1人やがな。その証拠に支配人以外でトップ取ったんオレだけやぞ。お前らマイナス分はオレに払えよ」

「セッコ―!お前、メタセコイヤやんけ!」

松原はいきり立った。

しかし、思いがけず岸和田がそれを止めた。

「まっつん、エエやんけ。亀やんに負け分払お。多分3000円づつくらいやて」

「岸和田〜、スマン、オレはお前を誤解してた。お前はムチャクチャエエヤツやんけ」

オレは感動の余り声を震わしてしもたくらいや。

それから救急車を呼び、支配人を病院に運んで貰った。オレらは支配人の坊やのダメージ具合なんて知りたくもないので、付き添いはチンさんに頼んだ。

よっしゃ―――!なんと素晴らしい結果なんや!数十万は負けてたのに、終わってみれば手元には松原と岸和田から勝ちとった6000円が有る。オレは充実感で一杯やった。

朝の10時に 喜び勇んでホテルに戻ってきた社長は、オレから支配人が救急車で運ばれたの聞いて顔色を変えた。

「ああ、なんてことや!西ちゃん西ちゃん、今からワシが見舞いに行くからな」

オクレ社長はうわ言のように『西ちゃん』を繰り返しながら慌てて出て行った。

「社長、オ・ク・レたらあきませんで――、オクレたら。お〜い、オクレ〜!もう行きよったかな。オクレのボケ、死ね―――!」

オレはオクレ社長が出て行ったドアに向かって叫んだ!

すると、その行ったはずのオクレが「何か言うたか?」と言ってドアから顔を覗かせた。

「ゲッ!」

「言い忘れてたわ、部屋代払てや30000万円」

「あっ、忘れてた。30000円か〜。しゃーないなあ、まっつん、岸和田、3人で頭割しょうか」

「アホ抜かせ!いつも雀荘代はトップ走者からその都度天引きしてたやんけ。しゃあからトップの無いオレらが払う必要なんてないんや」

オレの提案に岸和田が反論した。

「ホンだらトップの多かった支配人が一番払わなアカンな」

オレは当然のことを言った。

「支配人は払わんでもエエねん」

「何で?」

「支配人は『負けでエエ』って言うてたやろ。しゃーからトップは亀やんだけなんや。しゃーから亀やんが全部払わなアカンねん」と岸和田は得意顔。

「あ―っ!岸和田、お前、それを解ってて負け分払たんやろ?」

チクショー!こいつは普段ボケやけど、金が絡んだら別人になるんや…。こんな岸和田を良いヤツに思うなんて、なんちゅうお人良しなんやオレは!

バカバカバカ、亀太郎のバカ―――!


おしまい



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