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若き亀やん、再び!(シリーズ3麻雀編)
【コメディ その他小説】

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反撃開始じゃボケー!-1

半荘を再開して改めて気付いたけど、支配人のテンパイが解るのは凄く助かる。もう認めん訳にはいかんやろ。支配人の麻雀の腕は超一級や。やはり父親がバイニンだけあって、不要牌を捨てるにしても凝った順番で迷彩をするから中々手を読むことができない。そしてテンパイも解り辛いので、実際のところオッカナビックリな状態だったと言える。

しかし今はテンパイがストレートに解るから、余裕を持って手作りができるし、気持ちが楽になるとツモまで良い感じになってきた気がする。

コォ―――――!よっしゃ――――!激ツモや―――――!来たか来たか―!オレの風が―!

しかし、オレがようやくテンパイをして喜んだのも束の間のことだった。

「くっ!」

支配人は声にならない苦しそうな息を漏らしよった。

クッソ―――!こいつもテンパイしやがった。せっかくオレが激ヅモでテンパイしたばっかりやのに…。うぐぐぐっ!まあエエ、それも織り込み済みや、こっちは対策万全なんじゃ、ボケ―――!

「オペレーション【まっつん、早漏はイヤヨ!byアケミ】や」

オレは松原と岸和田に作戦開始を告げると、2人はハッとして支配人の顔を見た。そして苦悶の表情を浮かべる支配人を目の当たりにした二人は、「お―――――!」と感慨深げに声を出して頷きあっていた。

直ぐに支配人の下家の松原が作戦を実行に移した。

「う〜ん、どうしようかな〜、鳴こうかな〜、難しいな〜」

松原は言いながら中々ツモろうとしなかった。

「うううっ」

松原がう〜んと考える合間に、支配人の声が漏れ聞こえてきた。

「鳴くのんやめや、やっぱりツモるわ」

松原がそう言って山から牌をツモったが、その牌を持って今度は考えこんだ。

「う〜ん、何を捨てようかな〜、こっちやったら手が伸びるし〜、あっちやったら早いし〜」

「うくくくっ」

「うわっ!腹イタ!すまん、考え過ぎてハラタツノリや!チョットトイレ行ってくるわ」

そう言った松原は捨て牌もせずに腹を抱えてトイレへ走った。

「ぐぐぐぐっ」

「うわっ、まっつんがトイレ籠ったら長いぞう」

オレは支配人に向かってワザと大きな声で言った。

「ぐぐががっ」

うほほ〜、今のジャブが精神的に効いたんちゃうのん♪オレの予想通りの展開や。

松原がトイレへ行ってしばらく経つと、支配人は苦しさの余りに目をギュっとつぶって苦悶の表情を浮かべた。オレはそれを見てトイレに向かって合い図を送った。すると松原が足音を忍ばせて席に戻り、自分の不要牌をそ〜っと河に捨てた。岸和田がそれに続き、笑いを堪えながら音を立てずに牌をツモり、これまた不要牌を静かに河に捨てた。

そしてオレのツモ順。一応自分で上がれるように、心の中で『コォ―』と激ヅモを念じながらツモった。チッ!アカン…。まあエエ、今のツモ牌でおあつらえ向きにパターンCの条件が揃ったから取りあえず試してみるか。

もし支配人が山に細工をしてオレ達の捨て牌で上がれるようにしてたら、この作戦で支配人は墓穴を掘るんや。

「リーチ!」オレはデカイ声を出してバシッっと牌を叩きつけた。

その音に支配人はビクッと反応し、オレの捨て牌を見て手牌を倒した。

「うっ、そ、それや!また国士無双や…」

うほっ!かかりよったで♪
 
「はああ?何ですかあ?これで当りですってえ?」

「ぐっ、そ、それや、『一萬』で当りや」

「アホなこと言うたらあきまへんで!まっつんの『一萬』を見逃して何でオレの『一萬』で上がれますんや」

「ぐぐっ、な、何やて?いつの間に捨てたんや」

支配人は松原に苦しげな顔を向けて聞いた。

「さっきトイレから戻って直ぐに捨てましたがな」と松原。

「チョンボやな、チョンボ代は親満分(注:12000点)貰わなあきまへんな」

うほ〜、初めてこいつから点棒を吐き出させたぞ!

これがオレの立てた作戦や。支配人がテンパイしたら坊やが立ち、それが支配人自身のダメージを深めるんや。短時間なら支配人も我慢できるやろうが、それが長時間になったらどうなる?傷を負った坊やが大きくなると言うことは、傷口が広がるということや!さらに坊やの性能上、そこに血液がバンバン集まるんやで。想像するだけでオレの坊やがキュンキュン縮こまるがな〜〜〜。

イキナリパターンC(チョンボ誘発)がはまるとは思わんかったけど、本来はノロノロと時間を掛けて支配人のダメージを深めるのが、オペレーション『まっつん、早漏はイヤヨ!byアケミ』作戦の骨子なんや。今の回で集中力が途切れるくらいのダメージになったはずや。麻雀は集中力のゲームなのでこうなったらこっちのモンや。

さあ、これからや!



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