lost title-2
〈ねえねえ、知ってるー？また『ルージュ．カーニバル』出たんですってー。怖いですねー〉
そんなこんなで、最近『ルージュ．カーニバル』なんてふざけたあだ名が付けられている。他人じゃなくて、自分に、だ。
それと言うのも、この前運悪く、見られてしまったのだ。
人を食ってるところを。
当たり前だが、もっと以前から殺人事件が起きていることは発覚していた。そして、警察屋さんが最も困っていらっしゃったのが、遺体がバラバラに分解されて、そのバラバラになったパーツがどうしても足りなかった、ということ。
まあ、何で足りなかったかというと、『ルージュ．カーニバル』＝自分、が食っちゃったからなんだけどね。
で、いろんなメディアが騒ぎ出すわけで。そしたら投稿小説サイトの暇人どもが奇想天外、奇妙奇天烈、全く持って突飛な事を言い出したから、笑えるんだよねー。
〈きっと最近起きている、連続殺人事件の犯人は被害者の臓器を持ち出して闇の臓器ブローカーに売り払っているんだ〉
とか
〈もしかしたら被害者の体の一部を持っていったのは、指紋認証などのセキュリティをクリアするためじゃないだろうか〉
とか
〈いやいや、きっと持ち帰って、血抜きをして、剥製にでもしてどっかに飾ってるんじゃないのかな〉
とかな。
あほかお前ら。
そんなめんどくさい事するわけ無いだろうが。
フツーに考えても「食われた」以外に回答はないと思うんだけどなぁ…いや、犯人が食ったんじゃなくて、野犬とかがさ。
まあ、そんなこと言っても結局バレちゃったんだけど。
この前運悪く、見られてしまったのだ。
人を食ってるところを。
目撃者は「犯人は唇になんだか赤いものをべっとりくっつけていました。子供が口紅を遊んで引いた時みたいにぐちゃぐちゃだったんですけど……」だそーだ。
もちろんぐちゃぐちゃの口紅ってのは血だったんだけど、目撃者はそーとー錯乱していたらしいな。
でも流石に警察は「もしかして、食ったんじゃなえの?」とお気づきになられた。
そんでもって、マスコミが面白がってつけたあだ名が『ルージュ．カーニバル』。カーニバルってのは、人食いとゆーことらしい。
「だせぇ」
そのあだ名が出た時は思わずそう呟いてしまった。
その後ソッコ−で目撃者を殺しに行った。ハライセに。
目撃者。そいつの名前を仮に花子さんだったとしようか。その日、その夜、花子さんに目撃された時、花子さんは徒歩だった。その上ビジネススーツを着ていたから、たぶん仕事帰りだったのだろう。
当然、花子さんはこの辺りに住んでいるということになる。見つけるのに時間はかからなかった。時間はまもなく零時。絶好のチャンス。
花子さんに気づかれないように近づき、ホームセンターで買ったほとんど斧に近いのこぎりを引き抜き、一撃。ここで花子さんは血を面白いくらいに出して、電池切れの玩具みたいにぶっ倒れた。でも、止めない。花子さんが倒れる前に、さらに殴り続ける。
ニ撃、三撃、四撃、五撃六撃七撃八撃九撃十撃十一撃十二撃十三十四十五十六十七十八十九二十二十一二十二………………
始めの二,三発で死んだと思うが、ハライセなので５００％増しで撲殺してやった。
「さって」
のこぎりを肩の上に乗せて、花子さんの頭のほうに回った。ここからが肝心だ。スピーディやらないと、また第二の花子さんが出てきてしまうからな。
まずは花子さんの肩にのこぎりをあてがい、ぎごいぎぎっぎぐぎ、と一気に引く。肉が一気に裂け鮮血が溢れ出す。
ごりっごりごりり、、ごごりごり。肉は簡単に裂けるのだが骨はそうは行かない。ごりごりと力を込めて切断する。刃が粗いので小さな肉片が飛んできて顔に当たった。髄液もそこいら中に飛び散る。
骨を切断したら後は楽だ。やわらかい肉を一引きで断ち切り、残った皮膚を手で、ぶちぶちっ、と引きちぎる。
その手順で両手、両足を切断する。あ、あと首も。首切るときは何故だか血が一杯出るんだねー、あれだけアタマから血が出てんのに。なぜだろう？
ここまでくると、結構、小腹がすくので腕の肉なんかを齧りながら作業をする。
「よっしゃ、ここからが勝負」
残りの胴体がめんどい。
まずは腹を掻っ捌く。邪魔な内臓を引っ張り出すために。初めての頃は小腸の長さにびっくりしたけど、今は慣れたもんだ。消化器官は、様は一本の管だからずるずると引っ張り出せる。
その次に胸を縦に裂いて循環器官を引っ張り出す。理科室においてあるとおりの肺と心臓だ。色もきれーなピンクだし。きっと花子さんは健康に気を使っていたのだろうな。
最後に花子さんをひっくり返して、背骨を切断する。
と思いきや、いやいや、そんなことはしません。背骨の骨髄や脳みそといった神経系は、よく分からんけど食べちゃいけないらしい。
「さって、困ったね」