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lost title
【サイコ その他小説】

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花子さんはドコも美味そうだ。いつもは明らかに弱っている内臓や、無駄な脂肪が付いた足なんかは捨てていくからね。

でも花子さんは生前ちゃんとした生活を心がけていたらしく、どこを食べてもおいしそうだ。

「でも、全部運ぼうとすると、4,50キロはするからな」

そこは欲張らすに何とか減らすのだ。

で、今回は心臓、肝臓、胆、右手、右足、眼球、腹の辺りの肉をそぎとって、それらを持ってきた袋の中に入れた。

残りの臓器やらは空っぽになった花子さんの中にぶち込んでその辺の溝とかに押し込む。

これで作業は終了だ。返り血対策に着ていたレインコート、手袋を脱ぎ、内臓が入った袋の中に入れる。ウエットティッシュで顔を拭く。よし、これで大丈夫。普通の人。事前の準備は怠らないってのは基本だからね。周りに忘れ物が無いか確認してから

「うーん」

と背伸びをしたら、後は帰るだけだ。

簡単なもんだ。

花子さんはお家に帰っておいしく頂きました。

それが『ルージュ.カーニバル』としての初めての犯行。

花子さんは本名“峠綾香”さんと名前らしい事を後にニュースで知った。綾香さんのご両親は、アナウンサーにマイクを向けられて

〈うちの娘がどうしてこんなことに〉

だの

〈人を食べるなんて信じられない。犯人は人間の皮をかぶった鬼だ〉

だのほざいてた。

「あほかっちゅーの。

お前ら、牛さん、豚さん、鶏さんの気持ちになったことある?

彼らなんてな―、人間に食われるためにこの世に生まれた動物なんですよ?そんで、人間に食われるために人間に殺されると。メチャクチャ可哀想だと思わない?

それをお前らさー、まずいだの、軟骨が苦手だの言っていとも簡単に捨てるくせに。

少なくとも肉を食う人間にそんなこと言われる筋合いは無いね」

なんて、いつものレス荒らしの癖が出て、取り合えず悪口を言っておいた。原因を作ったのが自分だと気づいた時には笑ったね。

『ルージュ.カーニバル』とあだ名が付いてからそこそこ過ぎる頃にはもー、殺しすぎちゃって、食いすぎちゃって、町中が厳戒態勢って感じで、狩りができなくて困った。

冷凍しておいた人肉もそこを付き始めた頃には、

「あー!新鮮な肉が食いてーよー!!」

なーんて、毎日イライラしていた。

だいぶ長いことなりを潜めていたのに、町の警戒は外されなかった。もしかしたら自分以外にも殺人犯がウロウロしてるんじゃないの?と疑ってしまうくらい。

「仕方ないな」

全くもって仕方が無い。こうなったら警察の目を掻い潜るしかない。

朝のうちから外に出て町中の警官の数、警備ルートを、三日間かけて研究した。結果、穴を一箇所発見した。事前の準備は怠らないってのは基本だからね。

早速、夜を待って行動に移した。

レインコートをフードまで着て、手袋をはめ、獲物を入れる袋を用意し、のこぎりを握って、『ルージュ.カーニバル』は走り出した。

苦労して見つけた、警官の目に入らないルートを通り、例の場所にたどり着いた。

後は待つだけだ。美味そうな人間が着てくれることを祈る。

待っている間、不意に投稿小説のサイトに最近入ってない、ということに気づいた。

「まあ、暇だしねー」

暇つぶしのつもりで覗いた投稿小説サイトには見知った作者の名前が。


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