前向き-1
――前向き
今日のナオくんは、とても情熱的だった。
あたしが、玄関の扉を閉めて靴を脱いだら、いきなり抱きついてきて、唇を奪われた。
ルージュが剥がれてしまうようなキスの嵐。ド派手な歓迎セレモニーよね。2週間振りの
再会に相応しい始まり方だっていうのはもちろんだけど、ま、やっぱりと言うか何と言う
か、ふたりとも好きなんだよね、こういうのが…。
玄関脇の短い廊下の壁に背中を押しつけられ、口を塞がれたまま、服の上からおっぱい
を揉みくちゃにされる。肩に掛けてたトートバッグが足下にずり落ちてしまったけど、あ
たしもナオくんも、そんなことには全くお構いなしに、お互いのからだをまさぐり合い、
激しく求め合った。
ナオくんが、覚束ない手つきで、あたしのブラウスのボタンを上から順番に外していく。
あたしの唇に吸いついて離れず、舌と舌を絡み合わせたまま…。
「…はあ…はあ…はあ…」
ときどき漏れる吐息が、既に荒くなってしまっている。エアコンは効かせてくれてたみ
たいだけど、からだが熱くなってて、首筋に少し汗が滲んできた。あたしも、ナオくんの
Tシャツをまくり上げて脱がしにかかる。
ついでに、あたしのブラも取っちゃって、お互いに上半身裸になったら再び戦闘開始…
かと思いきや、あたしは、ナオくんの首の後ろに両手を回して、ナオくんは、あたしの腰
に両手を回して、しばらく、じっと見つめ合った。
「ユイ、おかえり」
「ただいま、ナオくん」
ようやくかい! という突っ込みはナシ。だからね、何回も言ってるでしょ? あたし
とナオくんは、言葉よりも、まず、からだが反応しちゃうタイプの人なんだって。え?
初めて聞いたって? 今まで何となくわかるように振る舞って来たような気がするんだけ
ど伝わってなかったみたいね。ま、それはともかく…。
挨拶を終えると、ナオくんは、いきなり、あたしをお姫様抱っこしてベッドまで連れて
行った。
ふたり並んでベッドの縁に腰掛け、一瞬、見つめ合った後、再び、貪るように唇を吸い
合う。粘膜と粘膜をねっとりと擦り合わせ、唾液と唾液をたっぷりと混ぜ合わせていく。
ひと頻り感触を楽しんだ後、しっとりと滑ったナオくんの舌が、首筋をじわじわと這って
いって、おっぱいまで降りてくると、乳首の先端をチロチロと弄んだ。
「…あぁっ…んん…ぅん」
不意を突かれて思わず声を上げてしまったあたしは、的確にポイントを責めてくるナオ
くんの先制攻撃に翻弄されながらも、何とか隙を盗んで、ナオくんのジーンズのベルトを
緩めようとする。
なかなか上手くできなくて苦労していると、ナオくんの方からベルトを抜いてジーンズ
の前のボタンまで外してくれたので、あとは、腰の部分を両手で掴んで徐々にずり下げて
いくだけだ。ナオくんの、ボクサータイプの黒い下着が露になって、既に棒状に膨らんだ
あそこの形がクッキリと浮かんで見えた。