詩<うた>を聴かせて-4
「俺はもう十分気持ちいいよ。それより早く柚葉を感じたい…」
まだ熱が下がりきっていないせいなのだろうか…光貴の表情がいつもよりも男らしく感じる。
触れられる度に熱が伝わる。
柚葉の胸を切なさとは違った感情が締め付けた。
「好き…光貴。私も早く一つになりたい…」
「柚…俺、今日は抑えられないかも…」
「二人で…いけるところまでいこう…」
一度軽く口付けてから光貴は柚葉の腰に手を添え、ぐっと男性自身を押し込んだ。
柔らかい感触がそれを受け止め、包み込む。
「くっ…」
ゆっくりと押し広げてゆき、全て呑み込んだところで小刻みに腰を動かし始めた。
柚葉の感じる部分を的確に攻め立てる。
「ああっ…そこそんなに擦っちゃ…!」
「柚葉の中…すげぇ気持ちいい…」
今度は腰を大きく動かし、奥まで突き上げた。
抽送が繰り返される度に硬い肉棒が柚葉の肉芽を擦りあげられ、高い嬌声を上げ続ける。
「ああぁ、おかしくなっちゃぅ…!」
柚葉は顔を左右に振りながら、ぎゅっとベッドのシーツ掴む。
「気持ちいいことはおかしくなんかないよ…俺でもっと感じて。もっと柚の感じてる声が聞きたい…」
そう言うと柚葉の両足を持ち上げてさらに激しく突き上げる。
このまま二人で溶けてしまいたい…
うつろな意識の中、柚葉はそんな風に思う。
光貴の刻むリズムは心地良くて、自分が一番安らげるのはこの人のところだけだと強く感じた。
柚葉の薄く開かれた赤い唇から漏れる吐息が肌に触れる度、光貴は自分の中に湧き上がる衝動を必死に抑えていた。
全部自分のものにしたい…。
さらに力強く柚葉を攻め立てる。
深く深く…奥の奥まで…自分達が繋がることができる、一番深いところまで…。
「あぁんっ…!!いいよぉ…!!あああっ!!」
二人の体はどんどん高みに昇り詰めてゆき、ついに達した。
窓から差し込む明るい光に柚葉は目覚めた。
「ん…?もう朝…?」
「オハヨ、柚ちゃん」
暖かな陽差しの中、隣にいる光貴が柔らかく微笑んでいる。
光貴の腕を枕にしてすっかり朝まで眠り込んでしまっていたようだ。
昨夜の快感の余韻がまだ体を占めている。
柚葉は光貴の広い胸板に顔を寄せた。
「起きてたんなら起こしてよぉ…」
「寝顔ずっと見てたかったからさ」
「寝てる顔ってブサイクなのに…」
「柚はいつでも可愛いよ」
さらっとこんな台詞を言う光貴…思わず赤面してしまう。
「でも昨夜の乱れた柚は本当に可愛かったなぁ…」
思い出すようにそう言う。
「…恥ずかしいからそんなこと言うのやめてよ」
「俺、歌ってる時はずっと柚の喘いでる姿想像してるんだよね。そうすると一番テンション上がるんだな〜♪」
いたずらっ子っぽく笑う光貴。
そうか、だから歌ってる声に体が感じちゃうんだ…
「ずっと俺と一緒にいてよ。柚は俺の力の源なんだからさ」
そう言って軽く口付けを交わす。
光貴の温かな気持ちに柚葉の胸が満たされる。
「…うん」
これからどんなに辛いことがあっても光貴と一緒なら大丈夫…
確かな自信を手に入れた柚葉を、太陽が暖かく照らしていた。
まるで、これからの二人の明るい未来を予感させるように…。
<完>
―――最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
また、こちらに初めて投稿させていただきました“夕焼けの窓辺”も、たくさんの方に読んでいただいて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
久しぶりにこの話を読み返すと、高校時代、バンドに熱を上げていた頃の自分を懐かしく思い出します。
真夏の暑い中、フリーライブに友人と開演の6時間前から並んで無事最前列をゲットできたり、ラジオ番組で送ったメールを読まれて舞い上がる程嬉しくなったり……
確かそんな多感な時期に書いた話で、今となっては少々気恥ずかしさが残ります(苦笑)
当時のままで拙い部分も多々あるかと思いますが、少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。