no title-1
ある日、投稿小説のサイトを覗いた。
アマチュアの集まりのサイトで特に内容に期待はなかった。あくまで暇潰しにだ。
投稿小説、その他、サイコ。適当にケータイのボタンを押していくと、なんだか目についたタイトルの小説を発見する。
『観察日記』
目についたので当然の流れで、読む。
簡単に内容を説明しよう。ある少年が人を殺す瞬間。以上。
マジでそれだけだ。少年が殺人対象を見付けて、ナイフで切り殺す。それだけの話。二千字にも満たない短い文章。
そして、その二千字にも満たない短い文章の中に人を殺した時の少年の心情と、情景。それらが詰まっていた。
少年の心情は淡白そのもの。
毒々しい破壊衝動が脳に訴える。
殺人の情景は濃厚そのもの。
痛々しい殺人風景が目に浮かぶ。
気付かぬ内に周りの全てを忘れていたのだろう。「……ふ、はっ」
呼吸していないことに気付いた。
人間はあまりに集中すると呼吸するのを忘れるそうだ。
ただ、まさか、文章を読んだだけで呼吸を忘れるとは思わなかった。
人生初めての経験だった。
もちろん一気に読みあげだ。
短い文なので五分ほどで読めた。
ヤバい。
ヤバいな。
これはかなりヤバい作品だ。
その投稿小説のサイトには作者へのBBSがあった。
感想を送ろうと思う。
『滅茶苦茶面白かったです！臨場感たっぷりで、まるで』
まるで自分が人殺しをしているみたいです
と書こうと思ったのだが、、、良いのだろうか？これは賛辞だろうか？作者に対する侮蔑にならないだろうか？
暫く悩んだ後、その感想を送ることにした。
理由は単純。それ以外の感想は、一切なかったからだ。
BBSに感想を送った後、その作者の他の作品を探すことにした。