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林檎の華
【SM 官能小説】

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林檎の華-3

… … … …

「林檎ちゃん、今度うちでもSMショーなんか取り入れてみたいと思うんだけどね…」

うちの劇場はこの館長とモギリや雑用のおじさんと…
それから私たち踊り子が三人しかいなかった。

温泉しかない町だから、シーズンにはそれなりに稼げるけれど運営はいつも厳しい。
だけど気楽で食べるに困る事はないから私はここにとどまっていた。

中学を出て、高校短大とSMショーはなかったけど、私はいつもひとりぽつんと孤立した感じだった。
一度結婚したけど、同居する姑と折が合わなくて私は半年で家を飛び出した。

それから、元夫が復縁を迫って煩わしいのでこの町にぽつりと降り立ってストリッパー募集の広告を見たのだった。

中学の時に陰湿ないじめに会って、私は不運を不運と思わなくなった。
どこにいても際限なく虐められるなら、私は私の好きなように生きていくのだ。

「何で私に言うんですか?」

私はその時、私の中に潜むマゾ体質を見抜かれたような気がした。

「イヤかい?まだ他の子には言ってないんだけど、林檎ちゃんがイメージ的にいいんじゃないかと思っただけだよ。」

「イヤとは言ってませんが。」

たしかに色とりどりの衣装を纏って順番に踊るだけならちょっと味気ないような気がしていた。
私たちは仕事だから一生懸命踊っているけれど、出し物的な事で何か趣向が違うひと工夫はないかと私も思っていたのだ。

「引き受けてくれるかい?」

「分かりました。」

「よぉし、こりゃいけるぞ。」

中学生の頃から、私にはたしかにマゾっ気があると思う。
だが、本格的な出し物としてSMショーをするとなると胸の高まりを覚えた。

劇場には以前使っていたというSMショーの小道具が大切に保管されていた。
赤いロープは色褪せて、鞭は擦りきれていた。

私たちが身につけて踊る鮮やかな衣装だって、よく見れば結構擦りきれて繕ってあるのだ。
場末のストリップ劇場なんて、たぶんそんなものだろう。

最初に身につけたのは乳房とお尻を大きく切り取ったレザーの水着のような衣装だった。
以前踊っていた踊り子さんは私より少し小柄だったのか、ちょっと窮屈だった。

それだけに体が締め付けられてオッパイやお尻が大きく見えて、股間がきゅっと引っ張り上げられのである意味効果的でもあったが激しいショーを演じたらいつ破裂してしまうか分からない。

責め役は他に人員がないから、館長自らが勤める。
手にした鞭を一度ビシッと床に唸らせて、セリの中央で私のお尻を打つわけだが私にはその後も出番が控えているからお尻やオッパイにあまりミミズ腫れを作るのも如何なものか?…
女の美しい体を観せていくらの商売でもある。

四つん這いになったお尻を鞭が触れる程度にかすめると「あぁっ!」と、私は大げさに身悶えてみせる。
お金をとって客に見せるにはどうにも味気ないのだ。

「館長、縛ってみてくださいよ。」

使い古した赤いロープを手にした私はショーが跳ねた後で申し出てみた。
衣装を身につけるより、生で縛られた方が迫力があると思ったのだ。


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