キングサイズのベッドの上で<前編>-1
週末──絶好の晴天に恵まれた私たち三人は、
電車を乗り継ぎ、約束通り海へと足を運んだ。
「うへぇ〜 すげぇ人だなぁ〜」
ギリギリ日帰りが可能な距離まで遠出して、
出来る限り人の少なそうな海を選んだのだが、
お盆も間近、実質最後の海日和と言う事もあってか、
ビーチは足の踏み場も無いほどに人混みで溢れかえっていた。
「あっちの方が空いているみたいですよ?」
「あ、ホントね…… 隆? やっぱり向こうに行くわよっ」
「ちょ…… また移動かよっ…………」
女二人に囲まれて、羨む視線を受けながらも、
その実、すっかりこき使われてる隆は、すでにひとり汗だくになっていた。
「あちぃ………… もうこの辺で勘弁してくれよ〜」
「何よ? 誘ったのは隆なんだからしっかりエスコートしなさい?」
「そうですよ? しっかりしないと荷物を持つ男のひとりやふたり、姉様がひとたび上着を脱げば…………」
「こ、こらユイっ…… じ、自分で脱ぐからっ」
薄手のパーカーを脱ぎ捨てて、ユイと選んだ真っ白いビキニを披露する私。
砂浜に腰を落とした隆の視線が熱い。
「へ、変かな?」
「ぜ、全然変じゃないよっ うんっ に、似合ってるっ!」
あたふたした様子で私を見上げる隆に、ほんのり頬を赤らめる私。
そんな私たちを見て、嬉しそうにユイがサムアップしている。
「もうっ ゆ、ユイも早く着替えて泳ご?」
「はい姉様♪ でもとりあえずは荷物番してますのでお二人で行ってきては?」
そう言ってその場にちょこんと座り込むと、
にこにこと両手を振って帽子を被るユイ。
気を使ってくれているのだろうか?
私はユイとだって一緒に楽しみたいのに……
そんな思いを胸にしながらも、隆に手を引かれ海へと足をつけると、
馬鹿ップルヨロシク、隆に乗せられるように、
私はすっかり年甲斐もなくはしゃいでしまっていた。