キングサイズのベッドの上で<前編>-5
隆を蔑ろになんてしているつもりはない。
けれど確かにユイを選ぶという選択は、結果として隆の気持ちを弄ぶに等しいのだろう。
「でもっ じ、じゃぁどうすれば…………」
思いのほか感情が溢れてしまい私の目にもまた涙が溜まる。
あまりに拙い私の恋愛経験では、どう考えても答えがはじき出せない。
「姉様? だから考えすぎだと言ってるでしょう?」
「ぐす…… だって…………」
「ユイと隆はですね………… とうに終わっているのですよ?」
「そ、それはっ…… そうだけどっ………… でもっ……」
「そりゃ隆の事は今でも大好きですけどっ 何度も言うように私は同性愛者なのです…………」
その言葉の意味が相変わらずピンと来ない私。
「姉様が私を慕ってくれているのは嬉しいですけど……」
「す、好きだよ? 私っ ユイの事…………」
「あは、嬉しいです♪ でも…… それはきっと同性愛では無いのです…………」
「…………え?」
同性が同性に好きといった感情を抱くのが同性愛なのではないのか?
私は同じ女であるユイにこんなにも好きという感情を抱いているのに?
「くす、姉様困惑してます♪」
「そ、そりゃするわよっ だって…………」
「姉様? 姉様は隆に抱かれたいと思いますか?」
「ふぇ? な、何よ突然…………」
「ユイはですね…… 隆は大好きですけど………… 抱かれたいなどとは微塵も思わないのです♪」
ユイはにっこり笑いながらそう言うと、
私の胸に顔を埋めては、啄むように体中へとキスをしはじめた。
「ちょ…… ユイっ こ、こんなところでっ!!!」
「うふ、私が抱きたい抱かれたいと思うのは………… 女である姉様だけです♪」
「やっ…… それはっ…………」
「…………姉様は違うでしょ? それが答えなのですよ?」
男性恐怖症で苦しむなか、必然と同性への愛に目覚めていったユイ。
隆と出会う事でそれは少なからず緩和されるも、
結果的に私という同性を選んだ。
けれど私はと言うと、男を知らずしてただ女を先に知ってしまっただけ。
ユイの言う通り、私は隆に抱かれたいと思っている。
それはユイへの想いとはまた違った部分であり、
ある意味では正常な異性への好奇心。
好きだけど抱かれたくはないと断言出来るユイとは、やはりどこか違うのだ。