Childish-3
・2月13日PM5:56
『目的』の場所に付き、車を止める。どうやら森の中のようだ。
助手席からカッパを取り着る。そして後部座席に置いてあるスコップを取り、外に出る。
腐葉土をザクザクと掘り始める。土は柔らかく、百合の力でも軽く掘り進められる。
やがて、成人男性の身長の半分ぐらいの深さで深さも浅い穴が掘れた。
「…………」
百合は、一回車に戻り、トランクを開ける。
ビニールシートを持ち上げ、穴まで持っていく。
穴にビニールシートを放り投げ、穴を塞ぐ。
穴を塞ぎきると百合は車に戻り、家に帰っていった…………
・2月14日am10:41
やっと、出張が終わって帰ってこれた。
1週間ぶりの我が家だ。
ドアノブを回し、ドアを開ける。
中からはとても甘い匂いがする。
「お帰りなさい〜」
リビングから、百合がドタバタて走りながら、駆け寄ってきた。
「ただいま……んっ? 何それ?」
何やら百合の右手にはラッピングされた四角い箱が握られている。
「あっ!? これ? エヘヘッ」
百合は右手に持っていた箱を両手に持ち直し、俺の前に差し出してきた。
「バレンタインのチョコだよっ」
チョコの入った箱を手に取る。
「…………」
俺は無言で百合を抱き締めた。
「ありがとう……」
百合を妻にして本当によかった。しみじみとそう思う。
「あなた……」
俺は百合と見つめ合い、キスをした。
だが……まだ一つだけ気になる事がある。
それは……………………
『ちゃんと昇太を殺したか?』
だが、それを聞くのはキスが終わってからでも遅くない。
まだ肌寒い2月中旬の話だった。
fin