幸運の娘(注意、性描写あり)-3
老婦人は、自分の滞在している郊外の屋敷を連絡先として教えた後、拍子抜けするほど大人しく帰っていった。
最初は驚いたが、ラヴィを大切に思っていたのが、よくわかる。
小さなソファーに並んで座り、お茶を飲みながら、やっとルーディとラヴィは一息ついた。
「ごめんなさい。いつもは冷静な方なのに……」
「いや……当然だと思う」
結果的にこうなったとは言え、振り返ってみても、ルーディは自分がラヴィを買った事を褒められない。
多分、鎮静剤のせいではなく、ルーディの心が本当に乾ききってひび割れていたから、ラヴィにあんな無神経な頼みごとができたのだ。
『発作』を起している間の記憶は途切れ途切れだが、あの耐え難い飢えと乾きは、程度こそ少なくても、いつだって心に突き刺さっていたものだった。
「ラーヴィ」
カップを取り上げてテーブルに押しやり、抱きしめてキスする。
「んっ!?」
キスしたら、それだけで済まなくなるのは解ってたから、あれからずっと我慢してたけど、もう限界だ。
唇の角度を変えるたびに、かすかにラヴィは身じろぎし、ふせた長い睫が震えているのが可愛くてたまらない。
さんざん口内を嬲って、夢中で囁く。
「ラヴィ……欲しい。すごく飢えてるんだ」
「で、でも……ここで……?」
「ラヴィの怪我が全部治ったら、ここでもキッチンでもするかもしれない」
「キッチン!?」
「料理してるラヴィの後姿、最高に色っぽいって知ってた?あれ見てると、メシの前にラヴィを食べたくなる」
「ル、ルーディって……」
絶句した後、ラヴィは横を向いて拗ねたように小さく口を尖らす。
「そういえば、初めて会った日に、男はみんな狼だって、言ってたわね」
「うん。それでラヴィは、腹ペコな俺に、ご馳走してくれる?」
「……貴方は優しそうな顔して、本当にタチの悪い狼だわ」