夕-4
「偉そうついでに言うと、夕ちゃんの心はとっくに陽ちゃんから離れてる気がするんだぁ〜勘だけど」
美夜は僕の頭を抱いてよしよしと撫でながら話し、それを聞いた僕の心はスゥッと軽くなる。
誰にも知られたく無かったし、触れられたく無かった……ゆらゆらさまよって、ぐるぐる巡る僕の感情。
それにあっさりと触れてきて、じわりと溶かしてしまった美夜はある意味凄い。
「美夜はカウンセラーになれるよ」
「え?そう?」
「うん。楽になった……ありがとう」
僕の感謝の言葉に美夜は真っ赤に顔を染めて、嬉しそうに笑う。
僕は美夜の泡だらけの躰を抱き寄せて、赤く染まった顔を見つめた。
ああ……やっぱり女の子はズルい……こんなに小さい躰なのに包み込むような安心感をくれるんだから。
「美夜の魅力が分からない陽太は究極の馬鹿だな」
「夕ちゃんは美夜に魅力を感じてくれる?」
「感じるよ?」
僕は親指で美夜のぷっくりした唇をなぞって、そっとソコに口づける。
はむはむと動かすと美夜は喉を鳴らして笑った。
「先にあがってるから、ゆっくり暖まってからおいで?」
2人の体の泡をシャワーで流し、僕はバスルームを出る。
美夜を1人にしたのは、このまま流されてヤルか、それとも止めるか考えてもらおうと思ったからだ。
勿論、僕は男だからヤりたい……しかし、彼女は『軽々しくセックスしたりしません』と豪語していた。
今は酔った勢いもあるが、風呂に浸かってる間に少し頭が冷えるだろう。
「夕〜ちゃん♪」
ああ……冷えなかったらしい。
バスローブを着た美夜は、ベットの足元から布団に潜り込み、モゾモゾと這い上がってくる。
「美夜……軽々しく誰とでもセックスしたりしませんってのは嘘かい?」
這い上がってきた美夜は、ぷはあっと布団から顔を出してにっこり笑った。
「夕ちゃんは特別ってのはダメ?」
目の前で首を傾げた美夜は素っぴんで……それを見た僕は目を丸くしてしまう。
「美夜、素っぴんの方が全然可愛いじゃないか」
そう、化粧を落とした彼女は華美な部分が消えて、本来の可愛らしさが全面に出ていた。
「ホント?!」
「ああ、本当に……なんか君には驚かされてばかりだな」
頭の空っぽなお馬鹿さんかと思っていたが、意外と誠実だったし勘も鋭い。
それに、思っていた以上に……可愛い……うん……美夜って凄く可愛い。