幸せを誓う。-3
「来月離婚する」私は父親に引き取られることになっていた。「なんか離婚するんだって。学校は変わるらしいよ」そう告げた時の海の反応はあっさりしていて、「…よかったな」だった。「いろいろありがとね。大好きだったよ、岩村先生」「理央…いや、秋本さん。幸せになれないなんてもう言うんやないぞ」その後はもう、体育館裏で会うことはなくなった。
転校１ヶ月後、海の精一杯の綺麗な字で「秋本理央様」と書かれた封筒が家のポストに入っていた。部屋に入って開くと、白いシンプルな便箋が出てきた。
新しい学校は楽しいですか？クラスが急に静かになってもうて少し寂しいです。お母さんはどうなったん？理央が幸せにやれてるならええけど、心配しすぎて俺がノイローゼ状態や(笑)。手首の傷は治りましたか？俺は最近おかんが死にました。考えてみたら俺のおかんも怖かった。誰でもカカァ天下って少なからずあるもんやな。
またどこかで会えるとええな。じゃあ元気にやるんやよ。
大好きな理央へ
海より
私も大好きだけど、もう頼ってばかりられない。前に向かって生きるのを目標にして、今を幸せと感じられるような自分になりたい。そう電話で言うと、「その誓いは絶対守るんやよ？」とだけ返ってきた。
今私は自分を大切にして生きている。手首と心の傷はまだ癒えないけど、精一杯頑張っている。
海、もしあなたがいなかったら私はずっとあのままだった。あなたに会えてよかった。ありがとね。